正一位

正一位（しょういちい）について

正一位は、日本の位階制度及び神階の中で最も高い地位を持つ称号です。この位階は、王族や公卿、さらには神社における神階の一部として位置づけられています。正一位は、従一位の上に位置し、国家に対する特に顕著な功績を残した者への叙位として知られています。

正一位としての叙位

正一位に叙される者は、関白や太政大臣、または征夷大将軍といった高位の職務を遂行し、国に対して貢献の大きい者が主に選ばれます。ただし、生前にこの位を授与されたのは歴史上、わずか7人に留まっており、ほとんどの場合は故人に対して追贈されることが多いのです。

明治時代以降、位階制度は大きな変化を迎えました。1869年に制定された職員令によって、正一位は大初位や少初位とともに「虚位」と分類され、実質的な職務を伴わない状態が続きました。生前叙位の最後は1891年に三条実美に対して、没後追贈では1917年の織田信長が最後となり、それ以降に新たに叙位された例はありません。加えて、1926年に施行された皇室儀制令では、宮中での席次に関する規定も存在せず、正一位に叙された人物の序列に関する明確な規定が設けられていません。

神社と正一位

神社に関しては、寿命がないために、長い年月をかけて多くの神社が正一位の神階を名乗ることが可能となりました。この背景には、神社の分祀時に元の神階が引き継がれない制度があり、時間の経過とともに独自に神階を名乗ることが一般化したのです。特に、稲荷神社はその代表例であり、修行の一環として神階を正一位とした背景があります。特に伏見稲荷大社がある時期に、「本社勧請の神体には『正一位』の神階を書くべき」という勅許を受けたことで、全国の稲荷神社も影響を受けて正一位を名乗るようになりました。

正一位に叙された神社の例

正一位に叙された神社には、いくつかの例があります。例えば、807年に叙位された賀茂御祖神や賀茂別雷神、843年に叙位された辛国息長大姫大目命、忍骨命などが含まれます。また、850年には伊波比主命神が、859年には大神大物主神や大己貴神が同様に叙位されています。これらは、いずれも神社の重要な神々であり、長い歴史の中で正一位の地位を保持してきたことが分かります。

正一位に叙された人物の逸話

興味深いことに、1912年に11歳の裕仁親王が解剖したトノサマガエルに「正一位蛙大明神」という名を付けたという逸話があります。このことは、正一位が持つ影響力やその名称の特別さを示す出来事として語り継がれています。

結論

正一位は、日本における位階制度及び神階制度の最高峰であり、その重要性や影響力は時代を超えて皆に認識されています。神社における使われ方や人物叙位の稀少性も相まって、正一位は日本の歴史と文化の中で特別な位置を占め続けています。正一位の背景にある豊かな歴史を理解することで、その重要性をより深く知ることができます。

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