正中

正中（せいちゅう）とは

天文学における「正中（culmination）」とは、天体が日周運動によって、観測地点の子午線を通過する現象を指します。子午線とは、天球上の天の北極、天頂、天の南極を結ぶ大円のことです。簡単に言うと、天体が観測者から見て最も高い位置を通る瞬間のことです。

特に、太陽が子午線を通過する際には、日本では「南中」と呼ばれ、太陽が真南に見える現象として知られています。

正中の種類

天球上をほとんど動かない天体は、1日の間に2回正中します。これは、子午線が天の北極と天の南極で二つの半円に分けられ、それぞれの半円を天体が通過するためです。

極上正中（upper culmination）: 天頂を含む側の半円を通過する際の正中です。一般的に、私たちが「正中」と呼ぶ場合は、この極上正中を指すことが多いです。
極下正中（lower culmination）: 天頂を含まない側の半円を通過する際の正中です。

天の北極に近い天体は、極上正中も極下正中も地平線上に現れることがありますが、天の南極に近い天体は両方とも地平線下になります。通常、極上正中のみが地平線上に現れます。

南中と北中

日本では、特に太陽や星が子午線を通過する際に、以下の二つの用語を使用します。

南中: 天体が真南を含む半円を通過する際の現象です。
北中: 天体が真北を含む半円を通過する際の現象です。

北半球では、極上正中が南中に、極下正中が北中に対応します。南半球では理論上はその逆になりますが、南中・北中という用語が日本独自の表現であるため、南半球での議論はあまり活発ではありません。

南中高度

天体が南中したときの高度（地平線からの角度）は「南中高度」と呼ばれます。南中高度は、天体の赤緯と観測点の緯度を足すことで計算できます。

ただし、この合計が90°を超える場合は、補角（180°から引いた結果）を南中高度とします。南中高度を知ることで、天体がどれだけ高く空に昇るかを予測できます。

星座の正中

星座は広がりを持っているため、星座全体が同時に正中することはありません。そのため、星座の正中を議論する際には、星座の中央付近にある代表的な星が正中した時をもって、その星座が正中したとみなします。

太陽の南中

特に重要なのが、太陽の「南中」です。太陽の南中時刻を正確に知ることは、日時計の作成や天文学的な観測に不可欠です。ある地点における太陽の南中時刻は、日本経[[緯度]]原点での南中時刻を基に計算できます。また、国立天文台の「こよみの計算」を利用することもできます。

太陽の南中時刻は、季節や観測地点の緯度によって変化します。このため、太陽の南中時刻を知ることは、私たちの生活に密接に関連しています。

まとめ

正中は、天体の動きを理解する上で非常に重要な概念です。この記事では、正中の定義から始まり、極上正中と極下正中の違い、南中高度の計算方法、さらには太陽の南中時刻までを詳しく解説しました。これらの知識は、天文学の世界をより深く理解するための基礎となります。天体観測をする際や、天文学を学ぶ際には、ぜひこの記事の内容を参考にしてください。

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