正伝寺

正伝寺について

正伝寺（しょうでんじ）は、京都市北区に位置する臨済宗南禅寺派の寺院であり、その山号は吉祥山です。本尊には釈迦如来が祀られ、正式な寺号は正伝護国禅寺と呼ばれています。この寺院は高い格式を有し、周囲の自然環境と調和した美しい景観が特徴的です。

歴史的背景

正伝寺の歴史は、文永5年（1268年）または文永10年（1273年）にさかのぼります。創建者である東巖慧安は、自身の師匠である兀庵普寧を開山に迎え、亀山[[天皇]]からの勅許を得て烏丸今出川に寺院を設立しました。兀庵は南宋から日本に渡った僧侶であり、彼の教えを受けた東巖はこの寺院の礎を築いたのです。しかし、寺は比叡山延暦寺の僧侶によって破壊され、東巖は鎌倉の聖海寺に移って最期を迎えました。

正伝寺の再興は弘安5年（1282年）に行われ、当時の社家である森経久の支援を受けて現在の西賀茂の地に移転しました。このことにより、寺の運は復活し、元亨3年（1323年）には後醍醐天皇から勅願寺の証を賜りました。室町時代には天皇家や足利将軍家からの信仰を集め、栄えていましたが、応仁の乱（1467年 - 1477年）により再び荒廃しました。後に徳川家康の理解と支援により復興が実現し、江戸時代には5つの塔頭を有する大きな寺院に成長しました。

庭園と文化財

寺の庭園は「獅子の児渡しの庭」として知られ、愛され続けています。特に、イギリスのロック歌手デヴィッド・ボウイが宝酒造のCM撮影の際にこの場所を希望したエピソードも有名です。彼は、何度も訪れた京都の中で、正伝寺の庭の美しさに感銘を受けたと伝えられています。

建築様式

正伝寺の本堂（方丈）は入母屋造りで、安土桃山時代のものであり、その建物はもともと伏見城の本丸御殿から移築されたものです。この本堂には重要文化財に指定されている障壁画が施されており、その多くは狩野山楽一派による制作と考えられています。また、廊下の天井には「血天井」と呼ばれる部分があり、これには伏見城の戦いで自刃した武士たちの血痕が残された板が使われています。

文化財の一部

正伝寺は数多くの文化財を有しており、重要文化財に指定されているものも多くあります。その中には、本堂の障壁画や兀庵和尚の絵などが含まれています。また、京都市によって名勝に指定された庭園も、訪れる者に静かな安らぎをもたらします。

アクセス

正伝寺へは、京都市バスの1系統、9系統、37系統に乗車し、「神光院前」で下車することで簡単に訪れることができます。周囲には、久我神社や願王寺、聖海寺など、他の歴史的なスポットも多く点在しています。

正伝寺はその歴史的背景や美しい庭園、文化財を通じて、多くの人々に愛され続けている寺院です。訪れることで、日本の禅文化や自然の美しさを体感できる貴重な場所となっています。

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