兀庵普寧

兀庵普寧（ごったん ふねい）

兀庵普寧は、鎌倉時代中期に南宋から日本へ渡来した臨済宗の僧です。宗覚禅師という諡号を持ち、法諱は普寧、号は兀庵と称しました。

生涯

兀庵普寧は、中国の僧である無準師範に師事しました。文応元年（1260年）、蘭渓道隆と円爾に招かれ来日し、博多の聖福寺に入りました。その後、鎌倉幕府の執権であった北条時頼の要請により、鎌倉の建長寺二世住持となります。

建長寺の本尊は地蔵菩薩でしたが、兀庵は地蔵菩薩を自分より下位であるとして礼拝しなかったという逸話が残っています。このことからも、彼の思想の先鋭さが伺えます。しかし、時頼は兀庵に深く帰依し、参禅や問法を重ね、その教えを受け継ぎました。

弘長3年（1263年）に時頼が亡くなると、兀庵は支持者を失い、文永2年（1265年）に帰国してしまいます。晩年は、温州永嘉県の江心山龍翔寺で過ごしました。

当時の日本では、彼の先鋭的な思想や難解な講釈は、理解されにくいものであったと考えられます。また、建長寺では日本の僧侶との間で多くの摩擦があったと伝えられています。これらの出来事から、日本語の慣用句である「ごたごた」（元の単語は「ごったんごったん」）の語源になったという説があります。

兀庵普寧の法系「宗覚派」

兀庵普寧の法系は「宗覚派」と呼ばれ、以下の系統に分けることができます。

南州下
兀庵普寧禅師（大宋特賜 宗覚禅師・建長寺第二世）
北条時頼（最明寺入道道崇）
南州宏海禅師（浄智寺開山）
天外志高禅師（円覚住持）

東巌下
兀庵普寧禅師（大宋特賜 宗覚禅師・建長寺第二世）
東巌慧安禅師（勅諡 宏覚禅師・正傳寺「諸山」開山）
法位円性禅師（正傳寺住持）
在庵円有禅師（福海寺「諸山」開山・正傳寺住持）

これらの法系は、後の日本の禅宗に大きな影響を与えたと考えられています。

関連項目

* 禅林墨跡

兀庵普寧は、その短い滞在期間にも関わらず、日本の禅宗史に大きな足跡を残した僧侶と言えるでしょう。

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