正木時忠

正木 時忠について

正木時忠（まさき ときただ）は、戦国から安土桃山時代に活動した武将であり、安房正木氏の一族に属する勝浦正木氏の当主です。彼は正木通綱の三男として1521年に生まれました。彼の兄には正木時茂が、子には正木時通や正木頼忠がいます。また、彼は「左近大夫」という称号を持っています。

生涯の概要

正木時忠の生涯は、彼が父・正木通綱の死後に里見義堯を支持したことで始まります。天文2年（1533年）、当主の里見実堯が父とともに殺害され、彼と兄は実堯の遺児である里見義堯の側に立ちました。その結果、天文3年（1534年）4月6日の犬掛の戦いで勝利を果たし、義堯が新たに里見氏の当主となりました。この時、彼らは里見氏内の権力を巡る激しい争いに巻き込まれました。

その後、兄の時茂が上総武田氏との内紛への介入を命じられると、時忠もこれに従い、1544年には真里谷朝信を討つことで東上総における武田氏の残党を排除しました。1542年には勝浦城を拠点とし、勝浦正木氏を設立することで領地を拡大しました。彼は上総地域を支配下に置き、兄の時茂を支援する形で軍を指揮しました。

里見氏との関係の変化

しかし、兄の時茂が亡くなると、時忠は次第に里見氏からの独立を目指すようになります。1564年には第二次国府台合戦の直前に里見氏から離反し、北条氏康に接近しました。そして1565年、氏政が両総へ侵攻してくると、時忠は迅速に参陣し、子を人質に差し出して北条氏の支援を受けることになりました。こうした状況の中で、彼は北条氏との同盟を結び、里見氏との対立を深めていきました。

その後、北条氏が他の勢力と抗争を続けるうちに、支持が得られにくくなると、彼の立場も不安定になりました。1574年には北条の領国である上総環境に侵攻し、この時期に里見氏に戻ったと考えられています。

水軍の指導者としての役割

正木時忠は勝浦を中心に海賊集団を統率し、水軍を編成するなど、海上戦力の確立にも貢献しました。勝浦は大船の出入りが行われる場所であったため、彼は漁船や水夫の確保にも成功し、里見水軍の重要な武将として知られています。このように、時忠は海・陸の両面で領地の防衛や拡大に貢献しました。

晩年と死去

時忠は1576年8月1日に56歳で死去しました。彼の墓は千葉県南房総市の正文寺にあり、法号は「威武殿正文目出居士」とされています。彼の特徴的な花押は、墨で塗りつぶされない小さな丸の点が特徴的であり、歴史的な資料としても重要視されています。

また、足利義晴の側近からの文書が残っており、これにより彼の生涯や里見・正木氏と室町幕府との関係についての重要な資料とされています。正木時忠の生涯は、戦国時代の激動を反映するものであり、彼の名声は今なお語り継がれています。

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