正源寺 (瑞浪市)

正源寺について

正源寺（しょうげんじ）は、岐阜県瑞浪市土岐町一日市場に位置する臨済宗妙心寺派の聖澤門派に属する寺院で、山号は天徳山です。この寺院は長い歴史を持ち、特に江戸時代初期の承応2年（1653年）または明暦2年（1656年）に開山されたと言われています。開山は堅室祖益という人物で、彼は加茂郡細目村にあった大仙寺の九世の法弟でありました。正源寺は以降、聖澤門派の法系を引き継いでいます。

正源寺の古い記録によると、寺の起源については謎が多いものの、かつては天徳屋敷の境内にあったという伝承が残っています。また、里伝では中世に土岐氏によって創建された天徳寺の境内と考えられており、両者の関連が示唆されています。承応年間の過去帳が今も残っており、寺院の歴史を物語っています。2006年には新しい本堂が落慶を迎え、現在の姿を持っています。なお、正源寺のそばには中央自動車道の瑞浪天徳バスストップがあり、アクセスも便利です。

境内の特徴

正源寺の境内には、特に注目すべき文化財があります。そのひとつが石幢（せきどう）で、単製と複製の二種類があります。単製は多角形の柱に獅子のような形の笠を載せたシンプルな形状で、複製は多角形の竿を持ち、その上に幢身や笠を載せた灯篭に似た形をしています。特筆すべきは、竿に「延宝四天」と刻まれていることから、延宝4年（1676年）に建立されたことがわかります。

この石幢は高さ約211cmあり、花崗岩で作られた複製のものです。六角形の各面には地蔵菩薩の浮彫りが施されており、かつては葬場の入口にあったことから、死者の慰霊や供養を目的としたものと考えられています。石幢は昭和58年（1983年）に瑞浪市の有形文化財として指定され、その重要性が認識されています。

三十三観音石像

また、正源寺の墓地のそばには三十三観音石像が集められています。ここでは多くの観音像が雑然と並べられており、特に高遠石工の守屋貞治に似た地蔵も存在すると伝えられています。ただし、年代のばらつきがあり、どれが貞治によるものか特定することは難しいとも言われています。そのほかにも泉州石工の作品が数多く見られ、地域に根付いた石工文化が垣間見えます。

泉州石工による石仏は、年代が比較的古く、彫りの丁寧さや細部の緻密さが特徴です。舟形光背の場合、彫りが深く、頭部は丸彫りに近い体裁を備え、舟形の裏処理が丁寧で厚みのある造りになっています。また、足場の幅が広く、足もきちんと彫り込まれている点が挙げられます。

文化財および天然記念物

正源寺の石幢は、昭和58年（1983年）1月21日に瑞浪市の有形文化財に指定されており、指定番号は瑞有29です。これにより、正源寺が地域文化遺産としての役割を果たしていることが確認されます。

正源寺は、その歴史的背景や境内の文化財を通じて、地域の歴史と信仰の深い結びつきを示しています。訪れた人々にとって、心を落ち着ける静寂な場所であると同時に、岐阜県の歴史を語る重要なリソースでもあるのです。

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