大仙寺

大仙寺

大仙寺は、岐阜県加茂郡八百津町にある臨済宗妙心寺派の別格地寺院です。山号は臨滹山と称します。

歴史

大仙寺の歴史は、寛正元年（1460年）に、木曽川の黒瀬湊の豪士であった古田彦右衛門信正の娘、如幻尼が黒瀬に不二庵を開いたことに始まります。当初は臨済宗南禅寺派に属していましたが、明応元年（1492年）に東陽英朝が不二庵に入ったことで、その歴史は大きく変わります。

東陽英朝は、和知村野上の出身で、幼少の頃から天龍寺で修行を積み、その後南禅寺に移りました。さらに龍安寺、そして雪江宗深のもとで印可を受け、雪江門下の四神足の一人として妙心寺の聖沢院に住み、聖沢派の派祖となりました。その後、尾張犬山の瑞泉寺などを経て、明応10年（1501年）に再び不二庵に入りました。

永正元年（1504年）には、美濃守護の土岐政房から山林制札を授与され、明応9年(1510年)に東陽英朝が再度住職となった際、木曽川を中国の滹沱河に見立て、山号寺号を臨滹山 大仙寺と改め、臨済宗妙心寺派に改宗しました。土岐政房は大仙寺を土岐家の祈願所とし、二世住持には東陽英朝の法嗣である大雅耑匡が継ぎました。

戦国時代末期には土岐氏の衰退とともに寺勢も衰えましたが、愚堂東寔が和知城主の稲葉方通の招きで八世住持となり、寺領や山林の寄進を受けました。寛永7年（1630年）には、現在地に移転し堂宇を新築、寛永11年（1634年）に完成し、愚堂東寔が中興を果たしました。現在の伽藍にある地蔵堂や方丈は、この時に建てられたものです。

愚堂東寔は、大仙寺に約40年間在住し、その間に四度、妙心寺に瑞世し、十五哲三首座の法嗣を輩出しました。承応2年（1653年）には、東陽英朝が没後150回忌を迎え、後光明天皇から大道真源禅師の諡号を賜り、寛文2年（1662年）には、愚堂東寔が後西天皇から大圓寶鑑國師の諡号を賜りました。

それ以来、多治見市の永保寺、関市の正眼寺とともに美濃三道場と呼ばれ、末寺14ヶ寺、塔頭5ヶ院を有する妙心寺派の別格地として、多くの高僧を輩出しています。愚堂東寔の時代には、沢庵宗彭の勧めで宮本武蔵が訪れ、参禅問法したと伝えられ、門前には宮本武蔵が座禅したとされる石が残っています。

大仙寺は創建以来、一度も兵火や災害に遭うことがなかったため、多くの什宝や古文書が現代に伝えられています。これらの歴史的背景が、大仙寺を単なる寺院ではなく、地域の文化遺産として重要な存在にしています。

境内

山門脇には庚申碑などが並び、天保飢饉の際に建てられた子供連れの名号碑があります。山門をくぐると石畳の参道が続き、左手には三十三観音の石仏が並んでいます。右手には幸福殿（稲荷）があり、その白壁に沿って歩くと宝蔵があります。山門を入って左手には大きな庫裡と本堂が、本堂に並んで地蔵堂があり、本堂前の庭を囲む塀の西隅には鐘楼があります。

裏山一帯は墓地となっており、八百津公園や小公園も併設されています。墓地には、大仙寺を復興した稲葉方通の墓もあります。

所有文化財

大仙寺は、岐阜県および八百津町指定の文化財を多数所有しています。

岐阜県指定有形文化財

釣手土器（縄文土器）
万里集九賛叭叭鳥
蒙山徳異紙本達磨図
絹本著色東陽英朝禅師像
絹本墨画蘭石図
愚堂東寔書跡
東陽英朝書跡

八百津町指定有形文化財

猿図
愚堂東寔賛墨画
愚堂東寔頂相
香炉（チャンパ焼）
愚堂東寔書跡（2点）
東陽英朝書跡

これらの文化財は、大仙寺の歴史と文化を今に伝える貴重なものです。

参考文献

『八百津町史　通史編』　第九章　近世の宗教と文化　第二節 宗教・寺院　大仙寺(八百津)　p207～p209　八百津町史編纂委員会　1976年
『美濃国加茂郡誌』　第七章　宗教　第二節　寺院　【八百津大仙寺】　p784～p785　岐阜県加茂郡役所　大正10年
『岐阜県百寺』　大仙寺　p156　郷土出版社　1987

外部リンク

* 公式サイト

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