正福寺 (土岐市)

正福寺

正福寺（しょうふくじ）は、岐阜県土岐市鶴里町細野に位置する曹洞宗の寺院です。東岳山という山号を持ち、薬師如来と聖観世音菩薩を本尊としています。この寺は、中部四十九薬師霊場の札所としても知られています。

歴史

正福寺は、昭和36年（1961年）に繁岳山 福昌寺と東谷山 正宗寺が合併して誕生しました。

繁岳山 福昌寺

福昌寺は、慶長18年（1613年）に福岡庄蔵が隠居所として建てた庵に仏像を安置したのが始まりです。その後、寛永10年（1633年）に盛久寺の白峯林太が開山し、寺号を繁岳山 福昌寺と改めました。三世の一外泰圓は正宗寺の中興に尽力し、四世の一雲圓秀は本堂を再建、師の木像を安置しました。

天保3年（1832年）には盛久寺の自回巌道を勧請して法地に昇格。天保11年（1840年）には梵鐘が鋳造されました。しかし、翌年には住職が転住し、後任の密宗寿賢は荘厳寺で得度後、福昌寺の住持となりました。その後、他寺の住持も務めました。元治元年（1864年）には庫裡が再建されました。

明治時代に入ると、住職の転住や「祖中論争」による寺の荒廃がありましたが、明治26年（1893年）には大般若経600巻を備えて復興しました。大正4年（1915年）には位牌堂が新築され、昭和32年（1957年）に住職が退任した後に、正宗寺と合併するに至りました。

東谷山 正宗寺

正宗寺は、寛永16年（1639年）に福昌寺と同じく白峯林太が開山しました。元禄5年（1692年）には二代の一外泰圓が中興を果たし、享保3年（1718年）には観音講社によって石灯籠が寄進されました。安政5年（1776年）に法地として開山し、翌年には蔵円寺の本堂を買い取って移築しました。その後、弘法大師像や嗽水盥が寄進されました。

明治時代には、梵鐘の設置や大般若経600巻の奉納が行われましたが、明治38年（1905年）には住職が転住しました。そして、昭和36年（1961年）に福昌寺と合併し、正福寺の一部となりました。

年中行事

正福寺では、以下の年中行事が執り行われています。

大般若会（3月24日）
水子地蔵祭（7月24日）
大施食会（8月10日）

境内

正福寺の境内には、以下の建物があります。

本堂
開山堂
鐘楼
玄関
長屋門
庫裡
土蔵
水車屋
東司

寺宝

正福寺には、以下の貴重な寺宝が伝えられています。

聖徳太子の作と伝わる薬師如来像
聖徳太子の作と伝わる阿弥陀如来像
聖観世音菩薩像
香炉
菓子台
古代錦打敷

これらの寺宝は、正福寺の歴史と信仰を物語る上で非常に重要なものです。特に、薬師如来像は中部四十九薬師の札所本尊として、多くの参拝者を集めています。

参考文献

『土岐市史 2 (江戸時代～幕末)』　第十五編 江戸時代の宗教　第四章　徳川幕府の神道政策　10 神社・寺院調　p374～p386　土岐市史編纂委員会　1971年
『中部四十九薬師巡礼』　p142～p145　中部四十九薬師霊場会　冨永航平　朱鷺書房　1999年

正福寺は、二つの寺院が合併して成立した歴史を持ち、多くの文化財や行事を今に伝える寺院です。地域の人々にとって心の拠り所であり、歴史と信仰を今に伝える貴重な存在です。

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