正覚寺 (愛知県扶桑町)

正覚寺について

正覚寺（しょうかくじ）は、愛知県丹羽郡扶桑町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。この寺の正確な創立時期は不明ですが、752年に聖武天皇の勅命で行基によって作られた薬師如来像が本尊として祀られています。もともとは真言宗の大きな寺であったものの、幾度もの火災によって廃れる運命にありましたが、1509年には臨済宗の僧侶である友峰宗益によって再興され、彼が中興の開山とされています。

歴史的背景

1584年には、戦国時代の小牧・長久手の戦いによる戦火に見舞われ、寺院の伽藍や数多くの宝物、文書が焼失し、再び廃寺となりました。その後、1959年（昭和34年）には、現在の本堂が再建され、今では本堂と共に庫裏、経堂が立ち並び、町の指定文化財である円空仏も展示されています。2025年（令和7年）には本堂が新たに再建され、円空仏についても新しい展示スペースが設けられています。さらに、正覚寺は尾北地方のキリシタン殉教地のひとつとしての側面も有しています。

文化財の紹介

正覚寺ではいくつかの貴重な文化財が保存されています。特に目を引くのは、1974年に扶桑町の指定有形文化財となった十二神将像です。この像は、本尊の薬師如来の両脇に12体が揃って安置されており、いずれも17世紀後半に円空によって作られたとされています。12体は直径70cmほどの丸木を利用して作られており、円空の初期作品にあたります。各像には干支が刻まれており、大きさは63.4cmから76.5cmです。円空仏は愛知県や岐阜県各地に存在しますが、十二神将像はその数が少なく、近隣では江南市の音楽寺に11体が残されていることが知られています。

また、大般若波羅密多経も重要な文化財の一つで、1988年に指定されました。この経典は1782年から1794年にかけて、元竜泉寺の住職である是孝によって写され、和装の折本形式で保存されています。内容の中には法名や協力者、費用に関する記載もあり、この経典は文化的価値が高いとされています。

現在の正覚寺

正覚寺の境内には地区の集会場が併設され、地域コミュニティの交流の場としても機能しています。このように、正覚寺はその歴史的な背景や文化財を通じて、地域の歴史や信仰、その文化の伝承に寄与しています。正覚寺を訪れることで、愛知県の歴史や仏教文化についてより深く理解することができるでしょう。

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