十二神将

十二神将について

十二神将（じゅうにしんしょう）は、仏教における天部であり、薬師如来を信仰する者を守るために存在する神々です。この神々は、一般的に十二薬叉大将とも称され、また十二神王としても知られています。彼らは薬師経の教えに基づき、信者を保護し、導く役割を担っています。

十二神将の起源と意味

各神将は、薬師如来が持つ十二の大願に応じて、それぞれ違った昼夜の12時間、12ヶ月、または12方角を守る存在と考えられています。このため、古代中国や日本では、十二支がそれぞれの神将に当てられています。何れの神将も本来は夜叉でありましたが、仏教の教えに従い善なる存在、すなわち守護神へと転生したとされています。

眷属と思想

各神将は7千の眷属夜叉を率いており、全体では84,000の眷属が存在するとされます。この数字は、人間が抱える煩悩の数と一致すると考えられていますので、十二神将は、信者の心の平安を支える重要な存在です。

十二神将の視覚的表現

多数の仏教美術において、十二神将は甲冑を着用した武将の姿で表現されます。各神将の特徴は、その表情やポーズにより異なり、個々の個性を強調する工夫が施されています。古代中国においても、彼らは早くから造形され、敦煌の壁画などにその姿が描かれています。このような文化的影響を受け、日本の仏教美術においても特に平安時代以降、神将像が制作されるようになりました。

日本における十二神将

新薬師寺に存在する等身大の十二神将像は、奈良時代に制作された中で最も古いものとされています。これらの像は、その造形的な美しさにおいても評価されています。一般的に、薬師如来を主体とする仏堂では、左右にそれぞれ6体の神将像が配置されることが多いですが、円形に配置されたり、光背の一部として描かれる場合もあります。これにより、神将の神秘的な力を際立たせています。

主な十二神将像

日本における著名な十二神将像には以下のようなものがあります：

• - 新薬師寺像（奈良県奈良市）：塑造、奈良時代、11体が国宝。
• - 興福寺東金堂像（奈良県奈良市）：木造、鎌倉時代。
• - 興福寺像（奈良県奈良市）：板彫、平安時代。
• - 広隆寺像（京都府京都市）：木造、平安時代、長勢作。

陰陽道における十二天将

仏教の十二神将とは異なる概念として、陰陽道においては「十二天将」という用語も存在します。しかし、この文脈における「天将」は「神」ではなく、天盤に配置された十二支を指しています。よって、両者は同一視することはできません。

結論

このように、十二神将は仏教の教えに基づき、信者を守護する存在として重要な役割を果たしています。これらの神々の信仰は、古代から続く日本文化においても深く根付いており、それぞれの神将が持つ役割や象徴の理解は、現代においても重要な意味を持っています。

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