正覚寺信号場

正覚寺信号場：おおさか東線と片町線貨物支線を繋ぐ要衝

大阪市平野区加美正覚寺にある正覚寺信号場は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運営する信号場です。一見すると小さな施設ですが、おおさか東線と片町線貨物支線を繋ぐ重要な役割を担っており、その歴史と機能を知ることで、近郊の鉄道網の複雑さと効率性が見えてきます。

開設の背景：おおさか東線開業と貨物輸送の近代化

正覚寺信号場が開設されたのは2008年3月9日、おおさか東線の開業に先立つ出来事でした。おおさか東線開業による運行形態の変化に対応するため、それまで地上線を走っていた片町線の貨物列車を高架線へ移行させる必要がありました。この高架線への移行に伴い、新たな分岐点として正覚寺信号場が設置されたのです。

それ以前、貨物列車は既存の地上線を走行しており、俊徳道信号場が分岐点として機能していました。しかし、おおさか東線開業と高架線の供用開始により、俊徳道信号場は廃止され、正覚寺信号場が貨物列車の新たな分岐点となったのです。これにより、貨物列車の運行効率が大幅に向上しました。

機能と位置づけ：おおさか東線と片町線貨物支線の接点

正覚寺信号場は、おおさか東線の衣摺加美北駅と新加美駅間に位置し、ここから平野駅へと続く片町線貨物支線（城東貨物南連絡線）が分岐しています。この貨物支線は単線で、正覚寺信号場から平野駅までを繋いでいます。

注目すべき点は、おおさか東線と片町線貨物支線の事業主体が異なる点です。おおさか東線は、大阪外環状鉄道が第三種鉄道事業者として施設を保有し、JR西日本とJR貨物が第二種鉄道事業者として運行に関わっています。一方、平野駅への貨物支線は、JR西日本が第一種鉄道事業者として施設を保有し、運行も担っています。そのため、正覚寺信号場は、これらの異なる事業者の施設境界としても機能しているのです。

歴史的変遷：路線再編と信号場の役割

正覚寺信号場の歴史は、おおさか東線開業と片町線貨物支線の再編と深く関わっています。2008年3月9日、おおさか東線開業に先立ち、片町線貨物支線の俊徳道信号場から平野駅間の高架線が供用開始され、貨物列車のみが利用を開始しました。これが正覚寺信号場の開設日です。

その後、3月15日には、片町線貨物支線の放出駅～八尾駅間が廃止され、この区間はおおさか東線として新たに開業しました。これにより、正覚寺信号場から平野駅間は片町線貨物支線のまま存続し、おおさか東線と片町線貨物支線の分岐点として、その役割を担うようになりました。

かつて存在した片町線（城東貨物線）の放出駅～八尾駅間の路線は、正覚寺信号場開設前に廃止されました。この路線廃止と新たな高架線の建設、そして正覚寺信号場の開設は、近郊鉄道網の近代化と効率化を象徴する出来事と言えるでしょう。

まとめ：鉄道網における重要なインフラ

正覚寺信号場は、一見すると小さな施設ですが、おおさか東線と片町線貨物支線の円滑な運行を支える重要なインフラです。その開設は、貨物輸送の効率化と近郊鉄道網の再編という大きな流れの中で起こった出来事であり、近年の鉄道史を理解する上で重要な位置付けにあると言えるでしょう。また、異なる鉄道事業者の施設境界としての役割も担っており、その機能は単なる信号場として捉えるだけでは不十分です。正覚寺信号場の存在は、複雑な鉄道網の維持管理における、高度な技術と計画力の結晶と言えるでしょう。

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