正長

正長（しょうちょう）

正長は、日本の室町時代における元号のひとつで、応永から永享にかけての期間である1428年から1429年までのわずか1年間を指します。この時代を支配した天皇は称光天皇と後花園天皇の2人であり、室町幕府の将軍は空位の状態が続いていました。

改元の経緯

正長の元号は、応永35年の4月27日、すなわちユリウス暦でいう1428年6月10日に称光天皇の即位を契機に改元が行われました。しかしこの改元の実施には、長い時間がかかりました。称光天皇は実質上1412年に即位していたにも関わらず、室町幕府はその後16年間、改元を認めず、将軍の足利義教が就任する際にようやく実現したのです。実際には、義教の初将軍就任はこの元号の後、さらに翌年に行われましたが、改元の実施を求めていたのは幕府自身であったという見方もあります。なお、称光天皇は改元の3ヶ月後に崇御しました。

年間の重要な出来事

正長元年の7月28日、称光天皇は崇御し、同日に後花園天皇が新たに即位しました。正長の時代には、正長の土一揆と呼ばれる農民の反乱も発生しました。また、この元年の3月15日、足利義教が征夷大将軍に宣下されたことにより、室町幕府の将軍の空位は4年ぶりに解消されました。

歴史的背景

この時期、室町幕府の権力構造は複雑でした。従来の将軍職が空位であったため、権力の空白状態となり、多くの地方大名や有力者たちの権力が拡大する基盤が整っていました。足利持氏が鎌倉公方として義教と対立する中で、持氏は永享への改元を認めず、「正長4年」と元号を続けることになります。これが「永享の乱」のきっかけともされているのです。

重要な人物と出来事

この時期に関与した重要な人物には、足利義教の他にも武将の朝倉孝景がいます（後に文明13年に死去）。また、元年の1月18日、室町幕府の4代将軍である足利義持が崇御しました。元年7月20日には称光天皇が崇御し、これが正長元年の大きな出来事として記憶されています。

総括

正長は室町時代の短い時期の元号ですが、その歴史的背景には権力の欠如や様々な人物の思惑が影響しており、また、後の歴史に大きく影響を及ぼす重要な時代の一端を示しています。この元号の時期は、将軍の不在や社会の不安定さの中で、いかにして新たな展開が生まれていったのかを考察する上で、極めて重要です。

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