正雀川

正雀川：大阪府吹田市と摂津市を流れる淀川水系の河川

正雀川は、大阪府吹田市および摂津市を流れる淀川水系の一級河川です。千里丘陵に源を発し、南下して安威川に合流します。その全長は3,479メートルに及びます。

地理的特徴

正雀川の名称は、一級河川としての起点である吹田市大字山田下字下正尺149番地先（現在の吹田市五月が丘北3丁目付近）の地名に由来しています。この地名は、かつてこの地域で行われていた土地測量の方法と関係があると考えられています。

源流から安威川合流点までの流路は、かつて水田地帯であった名残を残し、複雑に蛇行しています。これは、水田への灌漑用水路として人工的に改修された歴史を反映しています。また、正雀川には山田川へと流れる分流も存在します。かつて流域には多数のため池がありましたが、近年の開発によってほとんどが埋め立てられました。現在、吹田操車場跡地と東海道線の下を流れる区間は暗渠となっています。

環境問題

正雀川は、水質汚染が深刻な問題となっています。上流部では、周辺住宅からの生活排水が未処理のまま川に流れ込んでいる様子が確認できます。護岸には多数の排水パイプが設置されており、それらから排水が直接河川に流入していることが原因と考えられています。

特に、阪急正雀駅付近から安威川合流点までの区間では、ユスリカの大量発生が問題となっています。このユスリカの大量発生は、水質汚染が原因の一つと考えられており、河川の生態系に悪影響を与えています。

対策として、コイの放流が行われていますが、水質汚染の影響からか、放流されたコイの中にはコイヘルペスウイルス病に感染している個体も確認されており、その効果は限定的です。その他にも、護岸に島を造成して流れと深さに変化をつけることでユスリカの発生を抑制する試み、堤防上に電撃殺虫機を設置するなど、様々な対策が実施されていますが、抜本的な改善には至っていません。

まとめ

正雀川は、歴史的な経緯と近年の開発により、複雑な流路と水質汚染という課題を抱える河川です。ユスリカの大量発生など、生態系への影響も懸念されています。現在、様々な対策が講じられていますが、より効果的な水質改善と環境保全策の推進が求められています。将来的には、地域住民との連携による環境保全活動の活性化が、正雀川の環境改善に大きく貢献すると考えられます。

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