武彦王妃佐紀子女王

武彦王妃・佐紀子女王の生涯

佐紀子女王、正式には武彦王妃佐紀子（たけひこおうひ さきこじょおう）は、1903年3月30日、賀陽宮邦憲王と妃好子の次女として京都に生まれました。彼女は皇族としての名誉を背負いながらも、波乱に満ちた人生を送りました。

生い立ちと教育

佐紀子女王は、京都府立第一高等女学校を卒業し、教養を身につけました。彼女の結婚相手である山階宮武彦王との婚約は、1921年2月に内定しましたが、結婚は数回の延期を経て、1922年7月19日に実現しました。

結婚と妊娠

1923年9月1日、佐紀子女王は待望の第1子を妊娠している最中でした。この時期、母の好子妃と共に神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜別邸で静養をしていた彼女は、突然の関東大震災に遭遇します。震災により、別邸は崩壊し、佐紀子女王は圧死してしまいました。彼女を守ろうとする好子妃や侍医、侍女たちも危険を冒したものの、最終的には全員が犠牲となりました。

救助の試みと悲劇

震災発生から約2時間後に、武彦王が駆けつけた際、彼は佐紀子女王の遺体に対面しました。遺体の発見時、佐紀子女王を守ろうと侍女の石島祥も殉死の形で覆いかぶさっており、その悲劇的な姿が武彦王の心に深い衝撃を与えました。武彦王は母子の生命が救えないことを知り、応えることのできない哀しみの中で涙を流しました。

告別式とその後の影響

佐紀子女王の遺体は、防腐処理を施された後、鎌倉御用邸内にて通夜が行われました。告別の儀は1923年9月18日に山階宮邸で行われ、東京都文京区の豊島岡墓地へ埋葬されました。彼女は、生前に勲一等宝冠章を遡って授与されており、9月17日付の官報でその事が公表されました。

武彦王の精神的影響

佐紀子女王を失った武彦王は大きな精神的打撃を受け、医療の助けを求めることとなるほどでした。再婚の話も持ち上がったが、梨本宮家の規子女王との婚約は破談に終わりました。なお、関東大震災では他にも皇族が命を落とすなど、全体として大きな悲劇が横たわっていました。この影響を受け、昭和天皇は9月1日を「慎みの日」と定めることになります。

まとめ

武彦王妃・佐紀子女王の短い生涯は、悲劇や運命に翻弄されたものでした。彼女とその周囲の人々が抱えた痛みは、今でも語り継がれるべき重要な歴史の一部です。

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