豊島岡墓地

豊島岡墓地について

豊島岡墓地（としまがおかぼち）は、東京都文京区大塚五丁目に位置する、主に皇族のための墓地です。この場所は、護国寺に隣接しており、広さは約80472平方メートル、墓の数は61基です。これには、皇族以外の人々も含まれ、総被葬者数は63名に達します。

歴史的背景

この墓地の歴史は1873年（明治6年）にまで遡ります。明治天皇の第一皇子である稚瑞照彦尊が死産したとき、明治政府は皇居に近い土地としてこの場所を選び、皇族専用の墓地として使用することにしました。以降、この地は「陵」として天皇や皇后以外の皇族を葬る場所として整備されてきました。

現在、豊島岡墓地は宮内庁によって管理されており、その保全費用は国家予算に基づく宮内庁の予算で賄われています。一部の修繕費用は、祭祀を行う皇族が皇室経済法に従って負担しています。

墓地へのアクセスと制限

警備上の理由から、墓地に入場できるのは天皇や皇族、さらに事前に許可を得た親族や関係者に限られています。一般の方が自由に訪れることができる訳ではなく、皇族の葬儀や祭事の際に記帳や参拝が受け付けられる場合を除いて、一般国民が墓地内に立ち入ることはできません。

葬儀の儀式

豊島岡墓地では、皇族の葬儀、すなわち「斂葬の儀」が執り行われます。この地で行われた主な葬儀には、貞明皇后や香淳皇后の大葬があります。豊島岡墓地では、原則として生前に皇族であった者のみが葬られ、民間から皇室に嫁いだ女性もその対象となります。ただし、生前に皇籍を離脱した者は葬られませんが、例外として、特定の旧[[皇族]]が埋葬されていることもあります。

墓地の施設と環境

墓地の正門を入ると、すぐ右手に参集所があります。この場所は、墓参者が休憩できるようになっており、宮内庁書陵部の管理棟も兼ねています。周囲は割石で敷き詰められた庭と駐車場があり、葬儀が行われる際の祭壇用の礎石が設けられています。敷地のほとんどは雑木林で「音羽の森」として知られ、周辺のカラスたちの宿り木とされています。

参集所の近くには、各宮家ごとに鳥居と柵で囲まれた区画があり、隣接する護国寺との境界は、コンクリート塀と池などで仕切られています。墓地内の墳墓はほとんどが個別に設けられており、形状は主に円墳および上円下方墳となっています。明治期から第二次世界大戦にかけての墳墓は、通常土葬が行われていたため、複数の被葬者が同じ墓に埋葬されることはありませんでした。

戦後に建立された墳墓は若干のサイズアップが見られ、火葬が行われた上で夫婦合葬の墓が増加しています。

豊島岡墓地の現状

現在、このきらびやかな歴史を持つ豊島岡墓地は、皇族の最終的な安息の地として重要な役割を担っています。1917年（昭和2年）の宮内省告示によって、正式に「豊島岡墓地」という名称が採用され、以降もその神聖な場として、多くの人々の記憶に残り続けています。

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