武昌郡

武昌郡は、中国の歴史において、三国時代から南北朝時代にかけて存在した地方行政区画であり、現在の湖北省東部に位置していました。その成立から廃止までの過程は、中国の政治情勢と密接に結びついています。

武昌郡の成立と変遷

221年（黄初2年）、孫権が都を公安から鄂に移し、鄂を武昌と改名したことが武昌郡の始まりです。当初、武昌郡は武昌、下雉、尋陽、陽新、柴桑、沙羡の6県を管轄し、荊州に属していました。しかし、間もなく呉は武昌郡を江夏郡と改称しました。

280年（太康元年）、晋が呉を滅ぼすと、江夏郡は再び武昌郡と改められました。291年（元康元年）には、揚州と荊州の10郡を合わせて江州が設置されると、武昌郡は江州に編入されました。この頃の武昌郡は、武昌、柴桑、陽新、沙羡、沙陽、鄂、高陵の7県を管轄していました。

南朝宋の時代になると、武昌郡の管轄県は武昌、陽新、鄂の3県に縮小されました。454年（孝建元年）に郢州が立てられると、武昌郡は郢州に属するようになりました。

南朝斉の時代には、武昌郡は武昌、鄂、陽新、義寧、真陽の5県を管轄していました。

南朝梁の時代には、北新州が立てられ、武昌郡は北新州に編入されました。

武昌郡の終焉

589年（開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼすと、武昌郡はその歴史に幕を閉じ、鄂州に編入されました。

武昌郡は、その短い歴史の中で、所属する州や管轄する県を幾度となく変え、その変遷は、当時の政治的な変動を反映しています。その存在は、中国の地方行政制度の歴史を語る上で、重要な要素の一つと言えるでしょう。

もう一度検索