武満徹作曲賞

武満徹作曲賞

武満徹作曲賞は、現代音楽の新人作曲家を対象とした国際的な作曲賞です。故・武満徹氏の遺志を継ぎ、東京オペラシティ コンサートホール：タケミツ メモリアルが主催しています。

概要

1997年に創設されたこの賞は、「祈り・希望・平和」と「未来への窓」をテーマに、次世代を担う若い作曲家たちの創造性を刺激し、新しい音楽作品の誕生を促すことを目的としています。コンチェルトを除くオーケストラ作品を対象とし、審査員は毎年異なる著名な作曲家が務め、独自の判断で受賞作品を決定することが特徴です。受賞者には賞金が授与されるほか、選考作品と選考の模様はNHK-FM「現代の音楽」で放送されます。三管編成オーケストラを用いる35歳以下のための国際作曲賞は、現代では非常に少ないです。

選考過程

武満徹作曲賞の最大の特徴は、毎年異なる審査員が単独で受賞作品を決定するという、世界でも類を見ないユニークなシステムです。審査員は当初、武満徹自身が推薦していましたが、後に歴代の審査員と東京オペラシティ文化財団のアドヴァイザリー・コミッティによる投票で、3年ごとに選出されるようになりました。

この独特な選考システムが生まれた背景には、芥川作曲賞での武満徹の経験があったと推察されています。佐野光司は、武満が芥川作曲賞の審査員を務めた際、自身の意見が多数決によって覆されたことに疑問を抱いたのではないかと指摘しています。この経験から、武満は一人の審査員による独自の判断を尊重するシステムを構想したと考えられています。

歴代審査員

以下に、歴代の審査員を年度ごとに示します。

1997-1999年度:
1997年度: アンリ・デュティユー
1998年度: ジェルジ・リゲティ
1999年度: ルチアーノ・ベリオ
2000-2002年度:
2000年度: ルイ・アンドリーセン
2001年度: オリヴァー・ナッセン
2002年度: 湯浅譲二
2003-2005年度:
2003年度: ジョージ・ベンジャミン
2004年度: マグヌス・リンドベルイ
2005年度: ジョン・アダムズ
2007-2009年度:
2007年度: 西村朗
2008年度: スティーヴ・ライヒ
2009年度: ヘルムート・ラッヘンマン
2010-2012年度:
2010年度: トリスタン・ミュライユ
2011年度: サルヴァトーレ・シャリーノ
2012年度: 細川俊夫
2013-2015年度:
2013年度: ハリソン・バートウィッスル
2014年度: ペーテル・エトヴェシュ
2015年度: カイヤ・サーリアホ
2016-2018年度:
2016年度: 一柳慧
2017年度: ハインツ・ホリガー
2018年度: 陳銀淑
2019-2021年度:
2019年度: フィリップ・マヌリ
2020年度: トーマス・アデス
2021年度: パスカル・デュサパン
2022-2024年度:
2022年度: ブライアン・ファーニホウ
2023年度: 近藤譲
2024年度: マーク=アンソニー・タネジ
2025-2027年度:
2025年度: ゲオルグ・フリードリヒ・ハース
2026年度: イェルク・ヴィトマン
2027年度: ショーン・シェパード

（2006年度は武満徹没後10年特別企画のため、作曲賞は休止されました。）

開催年と入賞者

各年度の入賞者については、公式ウェブサイト等で詳細な情報が公開されています。
（詳細なリストは省略）

リゲティの審査について

1998年に審査員を務めたジェルジ・リゲティは、該当者なしという結果を出しました。彼はその理由として、応募者の作品にクラシック音楽の基礎が欠けていることを指摘し、現代音楽においても基礎の重要性を訴えました。

武満徹作曲賞は、現代音楽の新たな才能を発掘し、育成する重要な役割を担っています。

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