武田邦太郎

武田 邦太郎（たけだ くにたろう）

武田邦太郎は、1912年12月20日に広島県福山市で生まれ、2012年11月15日に99歳で亡くなった日本の政治家である。彼は元参議院議員でありながら、日本新党の副代表も務めた。1998年には勲三等旭日中綬章を受章し、その業績が高く評価された。

人物と経歴

武田は福岡高等学校を卒業後、東京帝国大学文学部を修了し、鐘紡に入社した。彼は同社の農林部に配属され、満州で農業事業に従事していた。その際、職業軍人である石原莞爾と交流を持つようになった。これは彼の従兄にあたる池本喜三夫が石原の側近であったためである。

終戦を迎えた後、石原は山形県の故郷に戻り、「西山農場」という自給自足の農村共同体を設立し、その理想を実現しようとした。武田はここに参加し、石原の理念に賛同する仲間たちと共に開墾作業を行った。しかし、貧しい土地では作物が育たず、脱落者も多く出た。1949年に石原が亡くなると、武田も多くの仲間と共に残り続け、自らの農場を支えるために努力し続けた。

武田は、彼が関与した農場活動を通じてアジア主義の理念を広め、いくつかの右翼政治団体にも参加した。これらの団体は、日本の再軍備に対して慎重であり、戦争放棄を唱える憲法9条を遵守することを誓った。1953年の参議院選挙には協和党公認で立候補したが、惜しくも落選した。

政治活動

農業の専門家としての知識が評価され、1961年には池田勇人首相の諮問機関である新農政研究所に入所し、1977年には所長に就任した。また、農林大臣の顧問や内閣の委員を歴任し、農業政策に寄与した。武田は後に武田平和研究所と武田新農政研究所を設立し、農業と平和に関連する活動を続けた。

1992年には細川護熙に説得されて日本新党設立に参加し、副代表となる。同年の参議院選挙では比例区から立候補し当選を果たし、外務委員会や沖縄及び北方問題に関する特別委員会の委員を歴任した。

晩年

晩年の武田は、山形県遊佐町で静かに生活を送っていた。書籍を読む日々を過ごしながら、石原莞爾を看取った最後の一人として、その記憶を大切に保つ「墓守」としての役割を果たしていた。彼は2012年に肺炎のために亡くなり、その人生は99年の長きにわたった。

主要著作

武田の著作には、1975年の『食糧危機と日本農業の展望』や、1988年の『コメは安くできる！ 農家は豊かになれる―農業イノベーションの提唱』がある。また、共著として『日本農業前途洋々論―農業イノベーションのすすめ』や『永久平和の使徒 石原莞爾』も著している。

武田邦太郎は、戦後日本の農業と政治の発展に寄与し、その活動は今なお多くの人々に影響を与え続けている。

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