武蔵寺

武蔵寺（ぶぞうじ）

福岡県筑紫野市武蔵に位置する武蔵寺は、天台宗の寺院で、菅原道真公と縁がある天拝山の登山口にあります。山号の椿花山（ちんかざん）に由来し、当地の歴史と文化を今に伝える重要な存在です。

概要

武蔵寺の創建年は飛鳥時代や奈良時代とされているものの、はっきりとはわかっていません。しかし、境内から発見された瓦や経塚によれば、11世紀頃には既に寺が存在していたことがわかります。九州では最古の仏蹟の一つとして知られています。

伝説によると、天智天皇の3年に藤原鎌足の子孫である藤原虎麿が、天皇に協力して寺を建立し、椿の木から薬師如来像を造ったとされています。なお、虎麿は初代の大宰帥の蘇我日向臣無邪（だざいのそち・そがのひむかのおみ・むさし）と同一人物であるとも言われています。武蔵寺の名称は、日蓮宗の僧が武蔵国池上からやって来たことに由来するとされています。

686年には藤原虎麿が亡くなった日を「地蔵会」として祝ったことがあり、この行事は今も続いています。

伝説と神話

武蔵寺にまつわる伝説には、虎麿が山中で怪しい火を見つけ、その正体が薬師如来が宿る霊木の精霊であると夢に告げられたことがあります。この告げられた通りに、虎麿はその霊木で薬師十二神将像を作成し、堂を建てて祀ったとされています。

また、虎麿には30歳を過ぎても子供ができない悩みがありました。彼は薬師堂にこもり、祈願した結果、女児を授かりました。しかし、その後疫病が流行し、虎麿の子も罹ってしまいます。再度、薬師如来に祈願を続けたところ、夢の中で一僧侶から「東方に葦の生える湿地に温泉がある」と告げられ、この温泉で子供を入浴させると病気が治ったそうです。この話が二日市温泉（薬師温泉・旧武蔵温泉）の始まりだとされています。

境内の見どころ

武蔵寺の境内には、樹齢700年余とされる藤の木があります。これは藤原氏にちなんで植えられたと言われています。また、観音堂、地蔵堂、大黒堂、伝教大師像などの諸堂、石仏、五輪の塔、般若心経の一石、経塔、板碑、大楠、心字池、茶室、鐘桜、芭蕉の句碑など、多くの文化財や信仰の対象が存在します。

文化財

武蔵寺にはいくつかの文化財があります。例えば、福岡県指定史跡の武蔵寺跡や、有形文化財に指定されている紙本著色の武蔵寺縁起、古石塔などがあります。また、筑紫野市からもいくつかの指定有形文化財があります。

行事

武蔵寺では、毎年4月に藤まつり、7月には瓜封じが開催されています。これらの行事は地域の人々にとって重要なイベントであり、多くの来訪者が訪れます。

アクセス

西鉄天神大牟田線の西鉄二日市駅やJR九州の鹿児島本線二日市駅から、西鉄バスで二日市温泉方面に向かい「二日市温泉」で下車後、徒歩12分（900m）で到着します。また、西鉄高速バス「筑紫野バスストップ」からも徒歩7分（600m）ほどでアクセスできます。さらに、九州自動車道筑紫野インターチェンジからは2.6kmの距離です。

周辺の情報

武蔵寺の近くには天拝山や天拝山歴史自然公園があり、観光やハイキングスポットとしても人気です。また、済生会二日市病院では武蔵寺縁起絵図や瑠璃子姫伝説のレプリカが展示されています。武蔵寺は歴史的・文化的価値が高い場所として、多くの人々に親しまれています。

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