武蔵野次郎

武蔵野次郎

武蔵野次郎（1921年3月14日 - 1997年7月9日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の文芸評論家であり、日本文芸家協会と日本推理作家協会の会員でもありました。本名を富永真平といい、福岡県福岡市で生まれました。

生涯

早稲田大学法学部を卒業後、武蔵野次郎は主婦の友社で編集者としてのキャリアをスタートさせました。1959年、南北社から『大衆文学への招待』を刊行したことが転機となり、大衆文学の評論家としての道を歩み始めます。彼は大衆文学研究の第一人者として、その普及と発展に尽力しました。

1961年には、尾崎秀樹らと共に大衆文学研究会を発足させ、研究活動を推進しました。また、『代表作時代小説選集』の編纂にも携わるなど、大衆文学の作品の発掘・紹介にも貢献しました。その功績が認められ、江戸川乱歩賞の選考委員も務めています。1976年には、長谷川伸賞を受賞しました。

武蔵野次郎の評論は、時代小説、歴史小説、そして作家論など、多岐にわたる分野を網羅しています。特に、大衆文学に対する深い愛情と造詣に基づいた評論は、多くの読者から支持を得ました。また、夏目漱石に関する研究も行っており、作品の舞台となった史跡を訪ね歩くなど、独自の視点から漱石文学の魅力を探求しました。

著書

『時代小説 文芸評論』春陽堂書店、1973年
『歴史小説の整理学 日本編 歴史と人生を読みとる251作品』かんき出版、1978年
『流行作家・その創造の世界』角川書店、1980年
『夏目漱石 物語と史蹟をたずねて』成美堂出版、1984年、成美文庫 1995年
『かつてヒーローがいた 私説・大衆文芸の世界』六興出版、1985年
『わが思い出のヒーローたち』PHP文庫、1989年
『松本城 物語・日本の名城』成美堂出版、1989年
『魔剣竜神丸 佐助と九人の仲間』春陽文庫、1990年
* 荒正人共編『大衆文学への招待』南北社、1959年

武蔵野次郎は、大衆文学研究を通じて、多くの人々に文学の楽しさを伝えました。彼の業績は、今日においても高く評価されています。

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