武蔵野鉄道デキカ20形電気機関車

武蔵野鉄道デキカ20形電気機関車

武蔵野鉄道デキカ20形電気機関車は、1927年に西武鉄道の前身である武蔵野鉄道によって新製された電気機関車です。この形式の名称「デキカ」は、武蔵野鉄道において電気機関車を指す独自の記号です。デキカ20形は、武蔵野鉄道が1923年に電化された池袋 - 所沢間の運行に合わせて新たに導入されたもので、貨物輸送の効率を大幅に向上させました。

背景と特徴

武蔵野鉄道は、初めてモーター移行を行う際、すでに蒸気機関車を所有していましたが、電化による利点を活かすためにデキカ11形として3両の電気機関車を導入しました。しかし、さらなる電化の促進とともに、1927年にデキカ20形として新たに2両（21・22号）が製造されました。これらの機関車は先代のデキカ11形と比べて主要機器の配置が見直され、よりコンパクトで効率的なデザインが採用されました。

デキカ20形の車体は、前面に張り出した機械室を持ち、凸型のデザインが施されています。このデザインは、電気機関車のバランスを考慮しつつ、主要機器を車体内に配置することで前後の張り出しが小さくなりました。その結果、見た目は一層シンプルで洗練された印象を与えています。さらに、本形式は設計製造を川崎造船所が行い、貨物運搬に適した国産機でもありました。

技術仕様

デキカ20形は、動軸を4つ備えた「D形電機」として位置づけられ、主電動機の出力が強化されるなどの特色があります。具体的には、架線電圧が1,200V、主電動機端子電圧600V時において、出力が448kW（約600HP）、これは先代のデキカ11形の約1.5倍の性能であり、機関車としての力強さを発揮しました。

電動機は川崎造船所製の直流直巻電動機K7-1903が4基搭載され、運用においても優れた性能を発揮しました。また、台車はスイングボルスター式のボギー台車を使用し、安定した走行性能を実現しています。

運用の歴史

本形式は、導入後の運用にあたり蒸気機関車と並行して使用されましたが、次第に全ての車両が無煙化され、電気機関車のみとなりました。これにより、武蔵野鉄道は素早く効率的な貨物輸送を実現しました。

また、1950年代には、武蔵野鉄道と（旧）西武鉄道の合併により形式番号の改番が行われ、デキカ20形はE21形と改称されることとなります。この改番は、西武鉄道の全電気機関車形式に適用され、長い運用期間を経て1978年に運用を終了し、形式消滅に至りました。

現在の地位

デキカ20形は、西武鉄道成立以前の「社員形車両」として最後に在籍した車両となり、鉄道史上重要な役割を果たしました。しかし、経年劣化により、1978年に全ての車両が解体処分され、現存しない状態となりました。このように、デキカ20形は電気機関車の進化に寄与しただけでなく、後の西武鉄道の成長に大きな影響を与えた存在となりました。

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