武蔵野鉄道モハ5570形電車

武蔵野鉄道モハ5570形電車の紹介

武蔵野鉄道モハ5570形電車は、西武鉄道の前身である武蔵野鉄道が1942年に製造した通勤形電車であり、同社最後の新製車両とされています。昭和初期の武蔵野鉄道は、経営の厳しさに直面し、長らく車両の増備を行っていませんでしたが、太平洋戦争前後の需要の高まりに応じて、新たな車両の導入が進められました。

背景

1940年4月から11月にかけて、久々の新車として制御車クハ5855形・5860形が導入され、その後の増備車両がモハ5570形へとつながります。モハ5570形は、1942年9月に4両が製造されました。この車両は、間接非自動制御（HL制御）方式を採用しており、5000番台という番号が付与されました。しかし、物資不足により設計変更が余儀なくされ、電動車から制御車として運行されることになりました。1943年には、改造により再び電動車に改められました。

車両のスペックと機能

モハ5570形は、全長18,000mmの半鋼製車体を持ち、両運転台仕様です。運転台は進行方向の右側にあり、片側に運転士用の扉が配されています。側面には客用扉が3つあり、二段上昇窓が採用されていました。また、車体は武蔵野鉄道の伝統的な茶褐色で塗装されていました。内部はロングシートで、750Wの暖房装置が備えられ、客室には自動扉が設置されています。

主な機械的要素

電動車化改造後には、三菱電機製の制御装置を採用し、主要な電動機も同社の製品が使用されました。台車はボールドウィン社製のボールドウィンA形が採用され、運転の際の安定性を高めていました。制動装置は自動式の空気ブレーキが使用されており、安全性も重視されています。

運用の歴史

武蔵野鉄道が西武鉄道に吸収合併された後、モハ5570形は混合編成として運用され、その後の設計変更や改造が行われました。その中で運転台の位置が変更されたり、客室と荷物室の配置が改修されたりしました。さらに、時代の流れとともに車両塗装も変更され、標準塗装が採用されるようになりました。1964年には全車両が廃車され、一畑電気鉄道へ譲渡され、70系電車として新たな運命を歩むことになります。

結論

武蔵野鉄道モハ5570形電車は、日本の鉄道史の中で重要な位置を占める車両です。戦時中の経済状況や資材不足にもかかわらず、長い歴史を経て多くの利用者に支持され、多くの改造を経てその役割を果たしました。彼らの存在は、西武鉄道の発展とともに忘れられない部分となっています。

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