武藤博

武藤博（むとうひろし）は、1937年4月20日生まれの日本の政治家です。埼玉県浦和市出身で、旧上福岡市の最後の市長を務めました。彼の政治家としての歩み、そして上福岡市の合併に至るまでの道のりを見ていきましょう。

生い立ちと経歴

武藤博は、6人兄弟の次男として生まれました。父親は浦和市議会議員、浦和市収入役を務めた人物です。また、弟には元大蔵・財務事務次官、元日本銀行副総裁で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長及び理事を務めた武藤敏郎がいます。

1955年3月、浦和市立高等学校を卒業後、父親の病気のため、3年間都内で修業を積みました。その後、地元で浴場を開業。1966年に上福岡市に支店を出したことをきっかけに転居しました。PTA活動などを通じて地域との関わりを深め、市議会議員へと転身しました。

政界での活躍

1979年4月、上福岡市議会議員選挙に無所属で立候補し初当選。その後、1983年に再選を果たしますが、1987年の選挙では落選します。しかし、1991年には再び市議会議員に返り咲き、1992年には市議会議長に就任。1995年には4選を果たし、1996年には彩福祉法人百条委員会委員長に就任しました。1997年3月、市議を辞職し、上福岡市長選挙に無所属で立候補。自民党・新進党・公明党の推薦を受け初当選しました。

市長としては、2001年と2005年に再選を果たし、3期にわたり上福岡市政を担いました。しかし、2005年9月30日、上福岡市が周辺自治体と合併し、ふじみ野市が成立したことに伴い失職。合併後、ふじみ野市長職務代理者を務めましたが、同年11月13日のふじみ野市長選挙で落選しました。

上福岡市長として

武藤博が市長に就任する以前、上福岡市では、日本社会党所属の田中喜三市長が長期にわたり市政を担っていました。しかし、田中市長の特養老人ホーム建設をめぐる贈収賄疑惑が浮上し、与党だった日本共産党が離脱。その結果、自由民主党推薦の武藤博が市長に当選することとなりました。

武藤市長は、2市2町合併の実現を最優先政策として掲げました。上福岡市は市域が狭く、単独での発展が難しい状況にあったためです。特に、三芳町との合併を目指しましたが、三芳町では合併反対の声が根強く、合併に向けた住民投票では、三芳町民の反対を覆すことができませんでした。

ふじみ野市の誕生とその後

新市名「ふじみ野」は、隣接する富士見市にあるふじみ野駅に由来します。富士見市、旧大井町、旧上福岡市が入り組む地域に広がるふじみ野エリアは、東入間地域のシンボル的な存在でした。この名称は、先の2市2町での合併協議の段階で新市名として決定されていたもので、公募の結果、この名称が踏襲されることとなりました。この背景には、将来的に富士見市や三芳町との新たな合併を目指す戦略もあったと言えるでしょう。

ふじみ野市成立に伴い、武藤博は市長を失職。その後、ふじみ野市長選挙に出馬しましたが、前大井町長の島田行雄に敗れ、初代ふじみ野市長の座を譲ることになりました。

武藤博は、上福岡市の最後の市長として、合併による市の発展を目指し尽力しました。その功績は、合併後のふじみ野市の発展にもつながっていると言えるでしょう。

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