武装共産党

武装共産党の歴史的背景と経緯

武装共産党（ぶそうきょうさんとう）は、1929年から1930年の間、特に武装闘争を掲げて活動した日本共産党の通称です。この期間における党の活動や指導者の動きは、後の共産党史において重要な章を形成しています。懸命な党再建運動や組織内の緊張感が、武装共産党という特異な時代の形成を促しました。

概要

1929年7月、四・一六事件後に多くの共産党幹部が逮捕され、党組織は大きな打撃を受けました。田中清玄が23歳の若さで中央委員長に選ばれ、佐野博と前納善四郎を中心に党の再建運動が始まりました。彼らの指導のもと、日本の共産党は武装共産党と呼称され、特にモスクワのコミンテルンからの指導を受けつつ武装闘争を採用しました。この方針は1930年5月まで続き、数々の官憲との衝突を引き起こしました。

党の再建

四・一六事件の影響で、党の幹部は多くが獄中に入ったため、残された新世代の指導者たちが再建に取り組みました。特に田中清玄が中央委員長となり、佐野博、前納善四郎とともに党組織の強化に努めました。彼らは文化的活動や資金集めのための組織を立ち上げ、例えば作家や学生からの寄付を呼びかけました。この結果、一定の資金を集めることには成功しましたが、その活動は厳しい検挙の対象となることも多く、次第に彼らは非合法な運動を強いられる状況が続きました。

武装方針の採択

1930年1月、佐野と仲間たちは警察の圧力に対抗するための「党の武装化」を決定しました。この方針は、当時のコミンテルンの影響も強く、彼らは「革命が近い」という誤った認識のもとに行動しました。この結果、合法的な左派組織の活動が無視されることになり、共産党およびその系列団体への厳しい規制がかかることになりました。

武装行動とその結果

武装方針に従い、共産党は労働争議やデモ行進において武装した行動を実践しました。特に1930年5月1日には川崎で武装メーデー事件が起き、大規模な衝突を引き起こしましたが、支持を得ることはできず逆に民衆からの反発を招くこととなりました。

解党派の出現と内部抗争

1930年頃には、党内で「解党派」が勢力を増し、コミンテルンの方針に反発し、党を一度解体して新たに組織を立てるべきだと主張しました。この動きは、当時の党内の深刻な分裂を象徴するものであり、コミンテルンとの関係を断つことを目指しました。

武装共産党の崩壊

武装共産党の活動は長続きせず、1930年7月、田中が逮捕されたことを機に、党中央部は重大な打撃を受けました。彼の逮捕は、当時の運動がいかに危険な状況に置かれていたかを象徴しています。その後、共産党は「非常時共産党」という新たな時代を迎えることになります。

行動隊の設立

武装共産党活動の一環として、行動隊が結成されました。彼らは街頭での宣伝活動を行う際に、当局の取り締まりを防ぐために編成された防衛部隊であり、具体的には3人1組のチームを形成しました。この行動隊は武器を持ち、危険な状況に備えることが求められており、その後の活動の中で多くの逮捕や事件が引き起こされました。

結論

武装共産党は1929年から1930年の間における歴史的事象から生まれた特異な存在であり、日本共産党史において重要な局面を形成しました。その武装化の決定は、当時の政治状況や社会的背景を反映し、結果として党内の深刻な分裂や衝突を引き起こす原因となりました。

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