非常時共産党

非常時共産党の歴史的背景と経緯

非常時共産党（ひじょうじきょうさんとう）は、1931年から1932年末にかけての日本共産党の特定の時期を指し、特に風間丈吉の指導のもとでの党の再建と位置付けられます。これは「武装共産党」導入後、厳しい弾圧を受けた共産党が、再び党活動を活発化させるために努力した結果、成長を遂げた時期でもあります。特にこの呼称は風間の著作『「非常時」共産党』に由来し、現在の日本共産党では公式に使用されてはいません。

組織の再建

1930年7月、田中清玄が率いる武装共産党が壊滅した後、労働者出身の活動家である風間丈吉がモスクワのクートヴェから帰国し、党の再建に取り組みました。1931年1月12日には中央部が再構築され、続いて1月25日には機関誌『赤旗』の再刊行が行われました。その後、党の活動方針は「大衆化」にシフトし、多くの支持者を獲得することに成功します。当時、シンパからの月々のカンパも活発で、資金問題も比較的安定していました。

この時期、共産党は最大の勢力を誇り、発行部数が急増しました。『赤旗』は6,000から7,000部に達し、党の活動を後押しする重要なツールとなりました。特に資金集めにおいては、シンパ1万人からの3万円という安定した資金源がありました。

誤った指導とその影響

しかし、この成功の影には警察スパイの存在と、コミンテルンからの誤った指導がありました。特に「君主制廃止」のスローガンの強制は、党に不要な弾圧を招く要因となりました。1932年初頭、熱海事件での大規模検挙は、非常時共産党の活動を急激に収束させることとなります。

警察の弾圧

1931年6月、コミンテルンとの連絡が途絶え、党の財政が悪化しますが、シンパの資金提供に頼ることで活動を一定程度維持します。しかし、時が経つにつれ、警察当局による弾圧は強化されていきました。1931年8月に関西地方の組織が壊滅し、続いて1932年3月には日本プロレタリア文化連盟への大規模な検挙が行われて、党の主要なメンバーやシンパが多数逮捕されました。

結果とその後の試み

そして1932年10月、熱海市での全国代表者会議での急襲により、多くの指導者が一斉に検挙され、非常時共産党は壊滅を余儀なくされました。この結果、党内での不信感や動揺が広まり、次第に多くの党員が転向し、再建の試みがなされましたが、内部分裂を招く要因ともなりました。

非常時共産党の時期は、日本共産党の歴史の中でも特に複雑で、組織内外の戦略を巡る抗争や弾圧の策動が展開され、党の基盤が揺らぎました。このような試練を乗り越えた党の姿勢や、後の運動の形態にどのように影響を及ぼしたのかを考察することは、今後の共産党史を理解する上でも重要です。

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