武見太郎

武見 太郎について

武見太郎（たけみ たろう、1904年8月7日 - 1983年12月20日）は、日本の著名な医師であり、日本医師会会長および世界医師会会長を歴任しました。彼は、医療界において強い影響力を持ち、特に太平洋戦争後の厚生行政においては多くの審議会の委員としても活躍しました。1945年以降の日本医療において、医師の立場や開業医の利益を守るために尽力し、1961年には全国一斉休診運動を主導するなど、武見自身の信念を貫く姿勢が評価されました。

経歴と生い立ち

武見は京都府に生まれ、幼少期から優れた成績を収め、旧制開成中学校に進学しました。在学中には、腎臓結核を患い療養時に仏教などに親しみました。1922年には旧制慶應義塾大学医学部に入学し、その後医学部を卒業し内科学教室に入りますが、教授との関係が悪く退職。その後、理化学研究所に移り、仁科芳雄の指導のもとで放射線の人体への影響を研究し、開業医としても名を馳せました。

医師会活動の影響

武見は、戦後に日本医師会の副会長、そして1957年から25年間にわたり会長を務めました。在任期間中、彼は主に開業医の権利を擁護しながらも、1970年代には開業医が病床を持つことに反対し、家族医療を重視するべきだと述べる一方で、「医師の集団は一様ではない」と批判しました。彼のクリニックでは、患者が自ら診療代を自由に決定するユニークなシステムが採用されていました。

政治との関わり

武見は、医師会の枠にとどまらず、吉田茂閨閥ともつながり、彼の私的なブレーンとして政治活動にも関与しました。その影響により、医療政策や厚生行政においても大きな発言権を持ち続けました。また、1975年には世界医師会会長に就任し、国際的にも影響力を発揮しました。

医療と漢方への情熱

医療における多様性も重視し、武見は漢方医療を保険診療に組み込むために厚生省に働きかけ、70種類の漢方薬が薬価基準に追加される手助けをしました。さらに、北里研究所附属東洋医学総合研究所の設立にも貢献しました。彼の業績は、日本の医療界における漢方の地位向上に寄与しました。

私生活と健康管理

1941年には秋月英子と結婚し、4人の子供に恵まれました。特に息子の武見敬三は、後に政治家として活動しました。武見は食事に関しては大食漢でありながら、タバコは嗜まなず、健康には自信を持っていました。1980年に胃癌が発覚するまで健康診断とは無縁であったことからも、彼のライフスタイルに対する自信がうかがえます。

エピソードと遺産

武見はその活動を通じて多くの問題に直面し、特にGHQからの人体実験の打診など、彼の医師としての倫理観が問われる場面もありました。彼の思想や行動は、後世において医療従事者に対する信頼と責任についての重要な教訓を提供しています。最晩年は胆管癌に苦しみながらも、医師としての務めを全うし続けました。彼の功績は、日本の医療界を大きく変えるものであり、歴史に名を刻んでいます。

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