歩兵 (将棋)

将棋の歩兵：基本から高度な戦術まで

将棋において、歩兵は最も基本的な駒でありながら、その戦略的な重要性は非常に高いです。本記事では、歩兵の動き、成駒であると金、そして歩兵にまつわる様々な用語や戦術について、詳細に解説します。

歩兵の基本

歩兵は、盤上の自分の陣地から敵陣に向かって、1マスずつしか前へ進めない駒です。一見すると非力な駒ですが、将棋の格言にもあるように「歩のない将棋は負け将棋、所詮歩がなきゃ成り立たぬ」と言われるほど、重要な役割を担っています。

成駒：と金

歩兵は敵陣の一番奥の列まで進むと、と金に成ります。と金は、金将と同じ動きが可能で、歩兵の完全上位互換です。成れる場合は、ほぼ全ての局面で成ることが選択されます。ただし、詰将棋などでは、故意に不成を選択されるケースもあります。

歩兵に関するルール

歩兵に関するルールとして、二歩と打ち歩詰めの禁じ手が存在します。

二歩: 同じ列に2枚以上の歩を持つことはできません。
打ち歩詰め: 持ち駒の歩を敵玉のいるマスに打つことは、反則となります。

英語表記

英語では、歩兵はPawn（略称：P）、と金はpromoted pawnまたはtokin（略称：+PまたはT）と訳されます。

歩兵の戦術

歩兵は、その特性を生かした様々な戦術で使われます。以下、代表的なものを紹介します。

突き捨て: 歩を前に進め、わざと相手に取らせる戦術。相手の駒の動きを制限したり、他の駒の連携を崩す目的で使われます。
叩きの歩: 相手の駒の直前に歩を打つことで、相手の駒の効きを外したり、攻めの糸口を作る戦術です。
垂れ歩: 次のターンでと金に成れる位置に歩を打つ戦術。直接急所に打つ歩よりも効果的な場合が多いです。
合わせの歩: 相手の歩頭に自分の歩を打つ戦術。多くの場合、その地点に利いている別の駒を活用する狙いがあります。
継ぎ歩: 歩を突き捨てた後に、さらに合わせの歩を入れる戦術です。
端歩: 1筋または9筋の歩。戦場に絡みにくいですが、他に有効な手がないときに突くこともあります。
と金攻め: 敵陣にと金を作り、それを動かすことで相手の囲いを崩す戦術。
手裏剣の歩: 相手陣に歩を垂らして攻める戦術。歩を取らせることで相手陣のすきを作り、崩すのが狙いです。
焦点の歩: 複数の駒が利いている地点（焦点）に歩を打つ戦術。駒を捨てる際に使われます。
中合いの歩: 駒の働きが遠くに及ぶ大駒の利きを遮断する戦術。
ダンスの歩: 金と銀の連携を崩すための戦術。
蓋歩: 飛車などを捕獲するための戦術。
土下座の歩: 持ち駒の歩を自陣二段目に打つことで、局面を収めるための戦術。
成り捨ての歩: 歩を成らせて捨て、相手陣形を乱したり、二歩を防ぐ戦術。
* 控えの歩: 持ち駒を後方に控えて、次の手を狙う戦術。

歩兵にちなんだ言葉

歩兵にちなんだ言葉も多く存在します。例えば、「歩頭」、「歩が付く」、「突く」、「突き捨て」、「突き歩詰め」、「歩を伸ばす」、「歩を切らす」、「歩を垂らす」などがあります。これらの言葉は、将棋の戦術を理解する上で重要です。

その他の将棋類

本将棋以外にも、平安将棋、平安大将棋、小将棋、中将棋、大将棋、天竺大将棋、摩訶大大将棋、泰将棋、大局将棋など様々な将棋類が存在し、それらにも歩兵に相当する駒が存在します。しかし、歩兵の動きや成駒、ルールなどは、将棋の種類によって異なります。

まとめ

歩兵は、一見すると単純な駒ですが、その動きや戦術は多岐に渡り、将棋の奥深さを象徴する存在です。本記事で紹介した内容を参考に、将棋の理解をさらに深めてください。

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