歩兵操典

歩兵操典の概要

歩兵操典（ほへいそうてん）とは、陸軍歩兵の訓練方法やその運用技術を体系化した官僚的な文書のことです。本項では特に大日本帝国陸軍の『歩兵操典』について述べます。

日本における操典の導入

日本では、藩兵や御親兵の時代に入ると、高島秋帆が蘭式軍制を導入し、1834年には佐賀藩がこの方法を採用することとなりました。以後、幕末の動乱期には洋式軍制が各藩で試みられ、特に欧州の歩兵操典が多くの兵学者によって研究され、その知見が日本の軍事研究へとつながりました。やがて、藩兵がそれぞれの方式を採用し、混成的な軍制が形成されました。

陸軍の創設とならったフランス式

1871年に大日本帝国陸軍が設立され、士官たちの経歴が多様であったため、最大公約数的なフランス式が採用されました。これは、1870年版フランス陸軍歩兵操典によって初めて具体的に示されました。続く1874年には、陸軍省がより新しい版を採用し、1887年にもフランス操典に基づいた改訂版が発布されました。

憲法発布とドイツ式の採用

1889年、日本に新たに制定された憲法は、近代国家としての基盤を整えました。この時期、ドイツの軍事理論が注目を集め、1891年の操典では独陸軍の戦術が導入され、以降の軍事戦略に影響を与えました。この段階で、日本陸軍は守勢的戦術から、より攻撃的な師団運用へと移行しました。

日露戦争から第二次世界大戦まで

日露戦争では新技術と戦術が求められるようになり、1906年には新しい操典の草案が策定され、1909年には正式に発布されました。この版以降、日本陸軍は翻訳に依存しない独自の体系を進めつつあり、第一次世界大戦が勃発すると、各国の戦術に大きな変化がもたらされました。大日本帝国陸軍もその影響を受け、1920年や1923年に草案、1928年には新たな操典が制定されることとなります。

対ソ戦の研究と変更

1937年には日中戦争や満州事変などから得られた戦訓が盛り込まれた操典が発布され、1940年には最後の改訂版が策定されましたが、戦局は厳しく、操典の改正は以降行われませんでした。

第二次大戦後の利用

本来の歩兵操典は戦後も一定の影響を持続しましたが、特にベトナム戦争や他の局面では異なる言語に翻訳され、新しい形で再利用されることとなりました。

他国の歩兵操典とその特徴

各国の歩兵操典は、それぞれの国の歴史や文化、社会構造を反映しています。アメリカ合衆国の歩兵操典は、多様な人種と教育背景を持つ兵士たちが理解しやすいように工夫されています。特に米国においては、戦術が具体的かつ実践的な表現で示されていることが特徴です。このように、歩兵操典は時代や国によって異なる形で進化し続けています。

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