死して咲く花、実のある夢

死して咲く花、実のある夢

『死して咲く花、実のある夢』は、神林長平によるSF小説。1991年にSFアドベンチャーに連載され、後に徳間書店と早川書房から単行本および文庫版が刊行された。

あらすじ

物語の舞台は近未来。情報軍に所属する降旗少尉率いるネコさがしチームは、内閣総理大臣の愛猫オットーを捜索する「マタタビ作戦」を実行していた。オットーの脳には、人類の未来を左右する重要な情報が記録されているという。

捜索中、彼らは信州の廃棄物処理場で異変に遭遇する。風景は一変し、過去の街並みが現れ、通信も途絶してしまう。降旗は、この場所が死後の世界である可能性を示唆する。

チームは、奇妙な出来事や人物との遭遇を通して、世界の真実に迫っていく。

登場人物

降旗勝（ふるはた まさる）
ネコさがしチームの隊長。現実主義者で、死をコミュニケーションの断絶と捉える。情報防衛大出身のエリート。
知念翔起（ちねん しょうき）
チームの一員。ユーモラスな性格で、仏教知識が豊富。
大黒桂（だいこく かつら）
チームの一員。実直な性格。
斉藤進（さいとう すすむ）
元都知事。ネコさがしチームと死後の世界で再会する。
メッセンジャー
情報軍本部から派遣された連絡員。ソフトデザイナーの金井と思われる。
重柳（しげやなぎ）
情報軍の中佐。マタタビ装置の開発者で、死後の世界の探査を目的とする実験を立案した。

キーアイテム・用語

情報車・秋月
情報軍の特殊車両。電磁暗室となっており、ステルス機能や光学迷彩機能を持つ。幽霊が出ると噂されている。
マタタビ装置
猫の脳波を追跡する装置。重柳が開発した。
チャネリング・ヘッド
メッセンジャーが生前に開発したVR装置。死者とのコミュニケーションを可能にする。
情報軍
情報収集、通信、情報撹乱などを任務とする軍組織。

テーマ

本作は、死後の世界を舞台に、人間の意識やコミュニケーション、現実と虚構の境界といったテーマを探求している。

評価

中山梨花は、MSXマガジンで本作を評価し、前半は冗長だが、後半はそれを補って余りあると評した。

『死して咲く花、実のある夢』は、神林長平ならではの独特な世界観と哲学的なテーマが融合したSF作品である。

書誌情報

* 死して咲く花、実のある夢 (ハヤカワ文庫 ISBN 4150305668)

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