死と彼女とぼく

死と彼女とぼく

『死と彼女とぼく』は、川口まどか氏による漫画作品で、『月刊少女フレンド増刊・サスペンス&ホラー』や『One more Kiss』（講談社）などで発表されました。ホラー要素を含みつつも、凄惨な描写は控えめで、人間ドラマとしての側面が強いのが特徴です。読切シリーズとして展開され、最新シリーズは『死と彼女とぼく イキル』として『ほんとうに怖い童話』（ぶんか社）で不定期連載されています。

あらすじ

物語の中心となるのは、死者の姿を見る能力を持つ少女・時野ゆかりと、死者や動植物の心の声を聞く力を持つ少年・松実優作。彼らのもとには、様々な事情を抱えた死者たちが訪れ、そして去っていきます。そんな日常を送る中、二人は海辺でハルナリエミと名乗る自殺した女性の霊と出会います。エミは、生前に近い姿を取り戻し、天国への道が見えていると言い、自身が「伝説の女」と呼ばれる死者に救われた過去を語り、その活躍について知りたいかと持ちかけます。

エミの話から、ゆかりと優作は「伝説の女」が優作の亡き母・泉原杏子であり、彼女が死後もこの世に留まり、生前と同じように傷ついた人々（生者・死者問わず）を救おうと奮闘していたことを知ります。また、「生者を殺すことで生者も死者も救われる」と主張する悪意ある存在と、杏子が長きに渡り戦ってきたことも明らかになります。

登場人物

時野ゆかり（ときの ゆかり）
7歳の時に大病を患い、生死の境を彷徨ったことがきっかけで、死者の姿を見る能力を得ます。その能力が死者を引き寄せてしまうため、優作と出会うまでは友達を作ることができず、孤独な日々を送っていました。優しく芯の強い性格で、死者に対しても同情的ですが、それが自身を深く傷つけることもあります。

松実優作（まつみ ゆうさく）
死者や動植物など、あらゆる魂の心の声を聞く能力を持っています。1歳頃から死者の姿が見え始め、5歳ではっきりと見えるようになりました。幼い頃から、遠くから助けを求める誰かの心の声を聞き続けていましたが、その声の主がゆかりであることを知り、彼女が通う城東西高校に転入します。3歳の時に母を亡くしており、母もまた死者の姿を見る能力を持っていました。父は死者を跳ね飛ばす力を持っていますが、本人は全く気づいていません。命の尊さを深く理解しているため、倫理観や正義感が強く、他者に対して厳しい態度を取ってしまうこともあります。

リュウイチ
ゆかりの母方の伯父。ゆかりが生まれる前に亡くなっています。死者の姿を見る能力を得たばかりのゆかりを見守っていましたが、苦悩する彼女を殺そうとします。しかし、遠くからの声に制止され、思いとどまります。後に、その声が優作であったことを知り、二人を引き合わせるために近づき、ゆかりが通う高校名を伝えます。

泉原杏子（いずみはら きょうこ）
優作の母。中学生の時に死者の姿を見る能力を得て苦悩しますが、ある死者との出会いと別れをきっかけに立ち直り、看護師を目指します。看護師として働いていた病院で松実建一郎と出会い結婚、優作を産みます。優作が同じ能力を受け継いだことに気づいた矢先、病に倒れ亡くなります。死後もこの世に留まり、息子を遠くから見守っています。

松実建一郎（まつみ けんいちろう）
優作の父。医者。死者を跳ね飛ばす力を持っていますが、本人は全く気づいていません。研修医時代に杏子と出会い、彼女の強さと優しさに惹かれて結婚しました。杏子の死後、夢を通して何度も彼女と会っていますが、夢の内容は覚えていません。

ミーシャ
松実家の愛猫。強い霊力を持っており、優作たちの危機を救うこともあります。

トシとヒロ
松実家の愛犬で双子の兄弟。死者の姿を見ることができます。

ハルナリ エミ
男に捨てられ自殺した女性の霊。「伝説の女」杏子に救われ、天国への道が見えるようになりました。杏子と縁のある優作とゆかりに、「伝説の女」の活躍について話します。

ジダイナ イチヨ
白装束の幼女の姿をした死者。「生者を殺すことで生者も死者も救われる」と主張し、悪意に捉われた死者たちを操り、生者を殺させます。

書籍情報

『死と彼女とぼく』全5巻（講談社漫画文庫）/全10巻（講談社ふれんどほらーKC）
『死と彼女とぼく ゆかり』全10巻（講談社KISSKC）
『死と彼女とぼく めぐる』全6巻（講談社KISSKC）
『死と彼女とぼく イキル』１〜３巻（ぶんか社コミックス）

ドラマCD

2004年2月25日発売
キャスト：子安武人、野田順子、井上倫宏、森田成一、犬山イヌコ

テレビドラマ

『死と彼女とぼく ゆかり』2巻収録の「流れのむこうにゆきつくまでに」がドラマ化され、2012年9月21日にテレビ朝日系で放送されました。

主演：三根梓
脚本：落合正幸
監督：塚本連平

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