死ぬほど好き (世にも奇妙な物語)

「死ぬほど好き」（しぬほどすき）は、人気オムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』の一話として、1990年7月12日に放送された作品である。同回には「半分こ」や「くせ」も含まれる。本作は、当時まだあまり知られていなかった脚本家の野島伸司が手がけている。

物語の主人公は高校生の星野純平。彼はクラスメイトの佐伯美香に秘めた想いを寄せていたが、その気持ちを打ち明けられずにいた。あるバレンタインデー、下駄箱に入っていたチョコレートが本当に美香からのものか確信が持てず、純平は何としても彼女の真意を確かめたいと考えるようになる。

両親が工場の資金繰りに奔走し、家を留守にしている間、純平は友人の真鍋省吾、村上太と共謀してある大胆な計画を実行に移す。それは、事故に見せかけた自身の偽装葬儀を執り行い、意中の相手である美香だけを呼び出すというものだった。しかし、葬儀が始まるや否や、計画は思わぬ方向へ進む。美香だけでなく、他のクラスメイトや学校の教諭までもが次々と参列に訪れてしまい、純平たちは偽りの葬儀から後戻りできない状況に追い込まれてしまう。

参列者が見守る中、美香は棺に横たわる純平に語りかけ、彼への好意を涙ながらに告白する。美香が泣き崩れながらその場を立ち去る様子を見た純平の両親も帰宅し、式の参列者の中に加わる。もはや棺から出ることもできなくなった純平だったが、美香が自分に恋愛感情を抱いていたことを知り、その事実に満たされていく。彼は友人と共に棺の中で祝いの酒を密かに交わすうち、そのまま眠りに落ちてしまった。

翌朝、前夜の深酒で寝過ごしてしまった友人が慌てて目を覚ますと、純平の棺は既に運び出された後だった。火葬場へ搬送されたことに気づいた二人は、慌ててバイクで後を追う。時を同じくして、棺の中で目を覚ました純平は、自身が霊柩車で運ばれている最中であることを知る。棺から必死に脱出しようともがいていたその直後、子供の飛び出しによる急停車が発生し、車内で頭部を強打した純平は再び気を失ってしまう。

次に意識を取り戻した時、彼は読経の声を聞く。そして目の前には、まさに点火されようとしている火葬炉があった。友人たちが火葬場に到着したのは、既に火葬炉に火がつけられた後だった。打ちひしがれる友人たちに対し、純平の両親は意外な言葉を口にする。微笑みながら、純平は親孝行であったと述べ、かねてより工場の経営が苦境にあり、息子にかけた生命保険金によって事業を立て直せると告白する。友人たちは、煙突から立ち上る煙をただ呆然と見つめるしかなかった。

物語の締めくくりとして、ストーリーテラーのタモリは、気になる異性の気持ちを知る最も確実な方法は、やはり勇気を出して本人に直接尋ねることであると示唆する。

スタッフ
企画：小牧次郎、石原隆（フジテレビ）
プロデューサー：佐藤敦、北島和久、日比生信義（日活）
脚本：野島伸司
演出：川崎善広
音楽：蓜島邦明
製作：日活

キャスト
星野純平：角田英介
真鍋省吾：古本新之輔
村上太：佐久間哲
佐伯美香：石田ひかり
熊野：桜金造
純平の父：望月太郎
* 純平の母：水野あや

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