殤帝 (漢)

殤帝（しょうてい）：後漢王朝、史上最年少の皇帝

殤帝、諱は劉隆（りゅうりゅう）は、後漢王朝の第5代皇帝として、その短い生涯を終えました。彼の即位は、後漢王朝における皇位継承の複雑さと、幼い皇帝を巡る政治的駆け引きを象徴しています。

生い立ちと即位

第4代皇帝であった和帝（わてい）は、多くの皇子をもうけましたが、相次いで夭折するという不幸に見舞われました。皇子たちの死に、宦官や外戚による謀殺の疑念を抱いた和帝は、残された皇子たちを民間に出して養育させるという措置を取りました。

元興元年12月（西暦106年2月）、和帝が崩御した際、長男であった劉勝（りゅうしょう）は病弱であることを理由に即位が見送られました。代わりに、まだ幼い劉隆が宮廷に迎えられ、皇帝として即位することになったのです。この時、劉隆は生後わずか100日余りであり、異例の若さでの即位となりました。劉勝は、殤帝の即位に伴い、平原王（へいげんおう）に封じられました。

政治の実権

幼い殤帝が即位したことで、政治の実権は外戚である鄧氏（とうし）一族に握られることとなりました。鄧氏は、和帝の皇后であった鄧綏（とうすい）とその兄である車騎将軍の鄧騭（とうしつ）を中心とした一族であり、幼い皇帝を擁立することで、朝廷内での影響力を強めていったのです。

短い治世と崩御

延平元年（106年）8月辛亥（しんがい）、殤帝は崩御しました。在位期間はわずか半年という短いものでした。その夭折を悼み、諡号として「殤」が贈られました。「殤」という字は、若くして亡くなったことを意味し、その短い生涯を象徴するものとなっています。

殤帝は、中国の歴代皇帝の中でも、最も若い皇帝として記録されています。彼の即位と崩御は、後漢王朝の政治情勢や、皇位継承における様々な問題を浮き彫りにする出来事となりました。

関連項目

殤帝（曖昧さ回避）：同じ諡号を持つ人物についての曖昧さ回避ページ。
溥儀（ふぎ）：清王朝最後の皇帝。2歳という若さで皇帝に即位した。

殤帝の短い生涯は、歴史の中で忘れ去られることなく、後世に語り継がれています。

もう一度検索