鄧綏

鄧綏（とう すい）

鄧綏は、後漢時代の和帝の皇后であり、諡号は和熹皇后です。彼女は南陽郡新野県の出身で、高祖父には後漢の功臣である鄧禹がいます。幼い頃から聡明で、学問を好み、類まれなる美貌を持っていたと伝えられています。

生涯

幼少期、鄧綏は祖母である太傅夫人に可愛がられ、6歳で史書を学ぶなど、早くから学才を発揮しました。家族からは「諸生」と呼ばれるほど、学識豊かな少女として育ちました。

永元7年（95年）、15歳で和帝の後宮に入ります。その美貌は周囲を驚かせ、和帝の寵愛を一身に受け、翌年には貴人に昇りつめました。しかし、当時の皇后であった陰皇后との関係は良好とは言えず、陰皇后が廃位された後、永元14年（102年）に皇后に立てられました。

元興元年（106年）、和帝が崩御すると、鄧綏は皇太后として政治を主導することになります。幼い殤帝を擁立し、その死後には安帝を擁立するなど、皇太后として長きにわたり後漢の政治に影響力を行使しました。その間、兄である鄧騭と共に朝政を運営しましたが、権力への執着から批判も受けました。

永寧2年（121年）に死去し、和帝の陵墓に合葬されました。彼女の死後、安帝によって鄧氏一族は没落へと向かいました。

政治手腕と評価

鄧綏は、皇太后として政治を主導した際、善政を行ったと評価される一方で、権力を独占し、外戚による政治を招いたという批判もあります。彼女は、班昭に経書の講義を受けるなど、学問にも造詣が深く、その知識を政治に活かそうとした姿勢が見られます。また、災害に対する救済や、税の軽減など、民衆の負担を軽減する政策も行いました。

しかし、その一方で、反対勢力を弾圧するなど、強権的な一面も持ち合わせていました。杜根が安帝の親政を求める上書を行った際には、激怒して彼を投獄し、処刑しようとしたという逸話も残っています。

日本との関係

『後漢書』東夷伝には、鄧綏が摂政として安帝と共に倭国王帥升らの朝貢を受けたと記述されています。このことから、鄧綏の時代に日本との交流があったことが伺えます。

まとめ

鄧綏は、後漢時代の重要な人物の一人であり、皇后、皇太后として後漢の政治に大きな影響を与えました。彼女の生涯は、美貌と知性、そして権力への執着が織りなす、波乱に満ちたものでした。

登場作品

テレビドラマ
ハンシュク〜皇帝の女傅（2015年、中国、演：リー・チェン）

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