殿、利息でござる!

映画『殿、利息でござる!』の概要

『殿、利息でござる!』は、2016年5月14日に日本で公開された映画であり、原作は歴史書『無私の日本人』に収録された磯田道史の評伝「穀田屋十三郎」です。この作品は、18世紀に仙台藩の吉岡宿という宿場町で、町人たちが共同で窮状を乗り越える姿を描いています。映画は松竹と東日本放送が共同制作し、監督は中村義洋が務めました。なお、映画のキャッチコピーは「ゼニと頭は、使いよう。」です。

あらすじ

物語の舞台は1766年、田舎の宿場町・吉岡宿です。この町では、伝馬役という物資運搬の負担が住民に重くのしかかっていました。通常、藩からの助成金が支給されるはずの状況でしたが、この宿場町は藩の直轄領ではなかったため、金銭的な支援が得られず、住民たちは困窮する一方でした。破産や夜逃げが相次ぐ中、造り酒屋の当主・穀田屋十三郎は町の状況を憂い、代官に訴状を提出しようと考えますが、茶師である菅原屋篤平治から危険を警告されます。

十三郎は煮売り屋「しま屋」で篤平治と偶然会い、この厳しい状況から抜け出す手段を相談します。篤平治が提案したのは、町の有志が資金を出し合い藩にお金を貸し、その利息で伝馬役を賄うという大胆な計画でした。最初は夢物語のように聞こえたこの計画ですが、十三郎は実行に移すために動き出します。

町の仲間たちとの協力

十三郎と篤平治は、町の有力者である遠藤幾右衛門や千坂仲内を説得し、計画に参加させました。しかし、銭集めの過程で町の中には様々な意見が生じ、特に十三郎の息子・音右衛門は父の行動に反発します。さらに、商人の間には資金を出すことに対する思惑や不安が渦巻きます。

それでも、十三郎の弟・甚内が参加し、目標金額まで資金を集めることができました。ところが、代官から申し出た提案は一度却下され、「銭ではなく金で納めよ」との条件が付けられます。藩は財政難に悩み、銭の価値が下がっていたため、さらなる資金を集める必要が出てきました。

最終的な決断と成功

町の人々は必死に資金を工面しますが、足りなくなる状況が続きます。最終的には、甚内が店を存続させるために私財を投じ、音右衛門は十年分の給料を前借りしてまで協力しました。こうして、千両が集まり、申し出が受け入れられる運びとなります。特別出演として仙台出身のフィギュアスケート選手羽生結弦が藩主役で登場し、作品に華を添えました。

結末と評価

映画は公開から好評を博し、多くの観客を動員しました。地域再生や人々の絆をテーマとしたストーリーは、東日本大震災後の宮城県の状況とも重なり、観客の心に響くものとなりました。上映された後、多数の反響があり、特に地域に与えた影響は大きかったと言えるでしょう。

スタッフと制作背景

この映画の監督・脚本ともに中村義洋が手掛け、音楽は安川午朗が担当しました。映画の制作は東日本放送の40周年記念事業の一環として行われ、地域に根ざしたストーリーが感動を呼びました。制作の過程で、多くの人々の協力が得られ、作品は人々の思いを形にすることができました。

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