毛利秀頼

毛利秀頼：戦国を駆け抜けた武将の生涯

毛利秀頼（もうり ひでより）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、信濃飯田城主を務めました。初めは長秀（ながひで）と名乗り、毛利河内守長秀として知られていましたが、後に豊臣政権下で侍従の官位と豊臣の氏、羽柴の名乗りを与えられ、羽柴河内侍従豊臣秀頼と改名しました。

生い立ちと織田家への仕官

秀頼の出自については諸説ありますが、『系図概要』によると、尾張守護・斯波義統の子で、津川義冬の弟とされています。織田信長が台頭する中、義統が家臣の謀反で暗殺されると、幼少の秀頼は毛利十郎に保護され、難を逃れました。この毛利十郎は、秀頼の近親者であり、養育係であったと考えられています。

永禄3年（1560年）、毛利十郎と共に桶狭間の戦いに参加し、武功を上げました。この功績が認められ、織田信長の馬廻衆となり、赤母衣衆にも抜擢されました。その後も、伊勢大河内城攻めや野田城・福島城の戦いなど、各地の戦で活躍しました。特に野田城・福島城の戦いでは、兼松正吉と協力して敵将を討ち取るという武勇を示しましたが、互いに首を譲り合ったという逸話も残っています。

織田信忠の配下として

信長と将軍・足利義昭の対立が深まると、秀頼は松永久秀が差し出した多聞山城の受け取り役を務め、城番も一時務めました。天正2年（1574年）には、織田信忠の配下となり、岩村城攻めや月岡野の戦いなど、数々の戦で武功を挙げました。信忠の信頼も厚く、軍団の中核を担う存在として活躍しました。

天正10年（1582年）の甲州征伐にも従軍し、信濃伊那郡を与えられ、飯田城主となりました。しかし、本能寺の変で信長が死去すると、武田氏の旧臣による反乱を恐れて所領を放棄し、尾張に帰還しました。飯田城は下条頼安に掌握され、秀頼は一時的に領地を失うことになりました。

豊臣秀吉への仕官と晩年

本能寺の変後、秀頼は羽柴秀吉に仕官しました。小牧・長久手の戦いでは、織田信雄の家臣を引き入れるなど、秀吉の勝利に貢献しました。また、木曽義昌の寝返りにも関与し、秀吉の側近として重用されるようになりました。天正13年（1585年）には、侍従に叙任され、豊臣姓と羽柴の名乗りを下賜されました。その後も、九州平定や小田原の役など、秀吉の主要な戦に参陣し、武功を重ねました。小田原の役後には、再び伊那郡・飯田城主に返り咲き、知行も10万石に加増されました。

文禄の役では肥前名護屋城の普請に加わりましたが、渡海はしませんでした。文禄2年（1593年）には、秀吉が明の使者と対面する際に御配膳衆を務めましたが、この頃から病に伏せるようになり、閏9月17日に死去しました。享年53歳。

人物と逸話

秀頼は、織田家中で武功をもって知られた武将であり、信長からの信頼も厚かったとされます。名将言行録には、長篠の戦いの直前に信長が秀頼と佐久間信盛に意見を求めたという逸話が残っています。

また、名護屋城に向かう道中での佐竹氏とのいざこざや、小野盆地における所領争いなど、様々な逸話も残っています。これらの逸話からは、秀頼が武勇に優れていただけでなく、時に短気な一面もあったことが伺えます。

秀頼の陣跡を含む名護屋城跡は、国の特別史跡に指定されており、その活躍を今に伝えています。

毛利秀頼は、織田信長、豊臣秀吉という二人の天下人に仕え、激動の時代を駆け抜けた武将でした。その武勇と忠誠心は、後世に語り継がれています。

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