九州平定

九州平定

九州平定（きゅうしゅうへいてい）は、1586年7月から1587年4月にかけて行われた、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）による九州の征伐を指します。この戦役は、島津氏をはじめとした九州地方の諸大名との戦闘が中心となり、その目的は九州の統一と豊臣政権の確立にありました。九州攻めや島津攻め、九州征伐など、複数の呼称が用いられています。

呼称と開始時期について

九州平定は、豊臣秀吉が九州進出の戦略的一環として行ったことから、一般的には「九州征伐」と称されることが多いですが、政治的な背景を考慮して「九州平定」「島津征伐」などの名称も存在しています。特に、豊臣政権による取り組みを重視する文献では、九州攻めとして言及されることが多いです。

実際の開始時期については、1598年から始まった天正15年の出馬が最初の出発点とされていますが、多くの研究者は、小和田哲男の意見を受け入れ、前年1586年から実質的に準備が進められていたと考えています。この年から黒田孝高が重要な役割を果たし、戦役が進められる土台を築いていました。

背景

戦国時代後期の九州は、大友氏、島津氏、龍造寺氏の三大名による三つどもが争う状態が続いていました。島津氏は、日向の伊東氏や肥後の相良氏などを制圧しつつあり、九州の大半を掌握していました。特に、薩摩の島津義久がその勢力を強化し、豊後の大友宗麟は秀吉に助けを求めることになります。これを受けて、秀吉は天正13年10月に停戦を命じますが、島津氏は内部での議論の末、これを受け入れました。

しかし、大友氏が停戦を遵守せず攻撃を仕掛けたため、島津氏は防戦に回り、戦争の火種は残りました。最終的には、島津氏が秀吉の提案を拒否したため、戦闘が避けられない状況となりました。

経緯と戦闘

天正14年には、豊薩合戦と呼ばれる戦いが起こります。秀吉は九州を平定するため、毛利輝元や十河存保といった他の大名の助力を得ると共に、初期軍事行動を開始します。島津氏もまた、筑前地域を攻撃し、勢力を拡大しようとしたが、多くの戦闘で苦戦し、さらには秀吉の援軍のおかげで局面が変わることになります。

特に、筑前の岩屋城や宝満山城の戦いでは、島津軍が強い抵抗に遭い、両軍に多くの被害が出ました。この時期、秀吉は九州攻めの本格的な準備を進め、毛利軍や他の領主を動員して各地の攻略を指示します。

秀吉の本隊出陣

天正15年には、秀吉自身が九州に赴き、豊臣軍として大規模な出陣を行います。この段階で、秀吉は膨大な軍勢を指揮し、九州全土に攻撃を展開しました。直ちに多くの城が陥落し、各地で島津方の抵抗が徐々に弱まっていくのです。しかし、島津軍も決して屈服せず、最後まで激しい抵抗を示しました。

講和の成立

とうとう4月21日に、島津義久が降伏を決定します。降伏によって、前線は大きく安定し、秀吉は戦後処理に臨むことができるようになりました。そして、川内での和睦が成立することにより、島津家も戦後の復興について協議されることとなります。

戦後処理

入城した秀吉は、九州地方への豊臣政権の影響力を強化し、戦後の土地の分配や統治に乗り出します。島津氏は一部の領地は維持されたものの、全体的には大きな損害を受け、戦後の復旧に苦労することになります。この戦役は、豊臣政権の確立の一歩となり、以後の戦国時代の統治に影響を与えることとなりました。

秀吉の九州平定は、彼の天下統一の礎となり、さらには朝鮮への侵攻や他地域への介入へとつながる過程の重要な一部でありました。

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