毛利親彦

毛利親彦（もうり ちかひこ）

毛利親彦は、文政13年（1830年）に生まれ、明治6年（1873年）に没した長州藩一門家老・阿川毛利家の14代当主です。父は毛利熙徳、正室は毛利熈頼の娘であり、子に寛がいます。通称は山三郎、主計、伊勢。初名は毛利倫周と称しましたが、後に藩主・毛利慶親（後の敬親）より偏諱を受け、毛利親倫と改名、さらに親彦と改めました。

生涯

文政13年（1830年）、一門である毛利熙徳の子として誕生しました。天保9年（1838年）に父が死去したため、家督を相続し、阿川領主となりました。

加判役（家老）として藩主・毛利敬親に仕え、その一字を授かる栄誉に浴しました。弘化2年（1845年）には、阿川八幡宮を修復し、領内の安定に尽力。弘化4年（1847年）には、孝明天皇即位式の祝賀使を務め、藩の代表として重要な役割を果たしました。

文久3年（1863年）には、隠居して家督を嫡男である親経（寛）に譲りました。しかし、元治元年（1864年）に藩内の保守派（俗論派）が政権を掌握すると、再び加判役に就任。しかし、慶応元年（1865年）に革新派が政権を奪還すると、更迭されました。慶応3年（1867年）には、寛が病を理由に隠居したため、再び家督を相続しました。

明治6年（1873年）、44歳で死去。激動の時代を駆け抜けました。

死後、阿川毛利下屋敷があった萩市椿東に葬られていましたが、2023年（令和5年）に下関市豊北町阿川の阿川毛利家墓所の一角に新たに墓所が設けられ、改葬されました。これは、長きにわたる歴史と家系のつながりを現代に伝えるものと言えるでしょう。

阿川毛利家

阿川毛利家は、長州藩において重要な役割を担った一門家老であり、親彦もその責務を全うしました。彼の生涯は、幕末維新期の藩政における複雑な権力闘争と、その中で生き抜いた一人の武士の姿を映し出しています。



参考文献
* 石川卓美著「防長歴史用語辞典」

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