毛利高範

毛利 高範について

毛利高範（もうり たかのり）は、1867年の誕生から1939年の逝去まで、戦前の日本において重要な役割を果たした人物です。彼は華族として子爵に叙爵され、貴族院の議員としても活動しました。また、毛利式速記術の創始者として知られています。

生涯の概略

毛利高範は、肥後宇土藩主である細川行真の次男として熊本に誕生しました。幼少期は「侃次郎」と名付けられましたが、後に豊後佐伯藩主である毛利高謙の養子となりました。廃藩置県後の明治9年（1876年）、養父の死去により高範は家督を相続し、1884年に子爵としての地位を得ました。

明治21年（1888年）、彼はドイツへ留学し、速記術に関する研究を行いました。3年後の帰国後には、宮内省の式部官として任命されましたが、明治26年には故郷である佐伯に戻り、日本語速記の研究を続けました。

政治活動

毛利高範は教育に対する情熱を持ち、明治40年に再び東京に移り住みました。その後、1913年には貴族院の子爵議員として選出され、再選を果たします。

1920年には自己の速記術を発表し、1923年には「毛利式速記学校」を設立し、教授を務めました。さらに、1924年には「毛利家奉公財団」を設立し、佐伯における教育や産業振興に貢献しました。このように、大正時代を通じて、彼は速記術の普及と教育に熱心に取り組みました。

栄典と受賞歴

毛利高範は、その功績により複数の栄典を受けています。1896年には従四位、1919年には正三位、1924年には勲三等瑞宝章を授与され、1931年には従二位に昇進しました。これらの栄典は彼の業績と貢献を物語っています。

家族

彼の家族にも注目すべき点があります。最初の妻は越後与板藩の藩主の娘である隆子でしたが、彼女は早逝しました。後に直安の養女である賢子と再婚し、5人の娘と2人の息子を持ちました。

それぞれの子供たちも速記術を学び、特に三女の泰子は著名な政治家である西園寺公望の秘書を務めながら、原田熊雄と共に「原田日記」の口述筆記を行いました。また、現在は彼の玄孫が家業を受け継いでいます。

晩年

昭和14年に彼は自宅で生涯を閉じました。彼の墓は芝高輪の東禅寺にあり、戒名は「速記院殿開新高範大居士」とされています。毛利高範は、速記術の発展だけでなく、その教育に尽力した人物であり、日本の文化に重要な足跡を残しました。

もう一度検索