毛民

毛民（もうみん）とは

毛民は、中国に伝わる伝説的な人々で、全身が長い毛で覆われていることで知られています。古代の地理書『山海経』によると、彼らは東方の国に住んでいたとされています。毛民は、長毛や長毛人とも呼ばれることがあります。

毛民の起源と伝承

『山海経』の中では、毛民国は玄股国の北側に位置すると記録されています。毛民の人々は、かつての王族である禹の子孫が、綽人という人々によって滅ぼされた結果、その一族の末裔として語られています。彼らには依（い）という姓があり、主にキビを食べて生きているとされています。

また、類似の古典書『三才図会』では、毛民国が南京から西へ約2年10ヶ月の距離にあると記されています。この国には城や田畑も存在していて、当時の生活を垣間見ることができます。日本の『和漢三才図会』や、奈良時代の絵本『異国物語』でもこのような伝承が取り上げられ、多くの人々に知られることとなったのです。

毛民が描かれた作品

毛民は、さまざまな文学作品にも登場します。たとえば、清代の小説『鏡花縁』では、毛民国が旅の舞台として描かれています。この物語では、死後に全身に長い毛が生えた人々として生まれ変わるといった設定があり、彼らは元々非常にケチな性格だったという背景が含まれています。

こうした伝説は、毛民が他に類を見ない特異な民族であることを強調するものであり、彼らの存在は神話的な要素を持っています。

さらに、台湾で2009年から連載されているライトノベル『噩盡島』や、その漫画版でも「毛族」または「毛民」と呼ばれる妖獣の一種が登場しています。これらは全身が毛で覆われた姿を持ち、異世界の存在として描かれています。

毛民に関する文献

毛民に関する情報は多くの伝記や地理書に言及されています。中でも、高馬三良による『山海経 中国古代の神話世界』や、寺島良安の『和漢三才図会』、吉田幸一の『異国物語』などは、毛民やその文化についての貴重な資料です。

これらの文献から得られる知識は、毛民がどのように古代中国の人々に認識され、伝承されてきたのかを理解する上で重要です。

毛民は、異民族や異文化に対する人々の関心を呼び起こし、今日でもその伝説は色褪せることがありません。

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