民主主義フォーラム

オランダの政党、民主主義フォーラム（FVD）：激動の軌跡

オランダの政党、民主主義フォーラム（Forum voor Democratie、略称：FVD）は、ティエリー・ボーデを党首とする右翼ポピュリスト政党として知られています。自由保守主義を標榜する一方で、民族主義や急進右翼的な色彩も強く、国内政治に大きな影響を与え続けています。本稿では、FVDの設立から現在までの歩み、党内紛争、選挙結果、組織構造、そして欧州政治における役割までを詳細に解説します。

FVDの設立と初期の活動

FVDは2014年、ティエリー・ボーデとヘンク・オッテンによってシンクタンクとして設立されました。当初は市民イニシアチブを支援するグループから発展した組織でしたが、2016年9月1日に正式に政党として登録されました。2016年のEUとウクライナ間の連合協定に関する国民投票では、反対の立場を明確に示しました。

党勢拡大と内紛

設立当初から党勢を拡大したFVDですが、その歩みは党内紛争の歴史でもありました。党内民主主義をめぐる不満や財務問題、また、人種差別や同性愛嫌悪とみなされる発言などが、党員の離脱や除名といった深刻な内紛を繰り返し引き起こしました。

特に2018年と2020年には、著名な党員や青年組織のメンバーの離党が相次ぎ、Otten Groupや正しい答え2021といった新たな政党が誕生する事態に発展しました。こうした内紛はFVDの支持基盤を揺るがし、その影響は選挙結果にも表れました。

選挙結果と議席数の変動

FVDは2017年の第二院選挙で2議席を獲得した後、2019年の州議会選挙では最大勢力となり、第一院でも12議席を獲得して第1党となりました。しかし、その後の選挙では、党内紛争の影響もあって議席数を減らし、2021年の第二院選挙では8議席にとどまりました。さらに、新型コロナウイルス対策のロックダウンをナチスのオランダ占領になぞらえたポスター問題や、ウクライナ大統領の演説への欠席表明などをきっかけに、複数の議員が離党しました。

議席数の変動は激しく、離党者の増加によりFVDの勢力は大きく減退しました。Brexitに伴う議席数見直しや、他党からの移籍なども、FVDの議席数に影響を与えました。2022年3月時点では、わずかな数の議員しか残っていませんでした。

党組織と関連組織

FVDは、党首であるティエリー・ボーデをはじめ、数名の国会議員を擁しています。また、青年組織である「Jongerenorganisatie Forum voor Democratie」やシンクタンクである「Renaissance Instituut」といった関連組織も有しています。

欧州政治におけるFVD

欧州議会においては、当初は欧州保守改革グループに属していましたが、その後「アイデンティティと民主主義」会派に移籍しました。欧州規模の政党としては欧州保守改革党に所属していましたが、2022年には離党しています。

結論

FVDは、オランダ政治において重要な役割を果たしてきた政党ですが、その歴史は党内紛争と議席数の変動に彩られています。右翼ポピュリズムというイデオロギー、そして党内対立という内情、そして欧州政治における立ち位置など、FVDは多角的な視点から分析する必要がある複雑な政党と言えるでしょう。今後の動向も注視していく必要があります。

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