民主社会のための弁護士会

民主社会のための弁護士会（民弁）: 歴史、活動、そして批判

1984年の設立と初期の活動

民主社会のための弁護士会（民弁）は1984年、韓国で設立された弁護士団体です。設立当初は、人権派弁護士趙英栄氏を中心に、政治権力とは距離を置き、一般の弁護士が敬遠するような事件の弁護を積極的に行っていました。代表的な例として、ソウル市内のポンプ場水門決壊による大規模浸水被害に対する集団訴訟があります。この訴訟では、ソウル市と建設会社の責任を追及し、多くの被災者への賠償を実現しました。

左派政党との連携と政界への影響力

しかし、趙英栄氏の死去後、民弁は次第に左派政党との連携を強め、多くの政治家を輩出するようになりました。盧武鉉元大統領や文在寅元大統領も民弁出身であり、特に文在寅政権下では、民弁出身者が政府要職や司法機関に多数進出し、「民弁全盛時代」と呼ばれました。2020年の総選挙では、11人の民弁出身者が共に民主党から国会議員に当選しています。

脱北者送還問題への対応と批判

民弁は、2016年に中国のレストランから集団脱北した女性従業員12人について、北朝鮮の送還要求に同調する姿勢を示したことで強い批判を浴びました。文在寅政権もこの問題で明確な拒否姿勢を示さず、脱北者たちの韓国社会における生活の困難さを指摘する報道も相次ぎました。この問題に対する民弁の対応は、その政治的立場を改めて示すものとなりました。

性的暴行被害者への対応と批判

さらに、民弁は、性的暴行被害の告白をした詩人に対する損害賠償訴訟を支援したことで批判を受けました。女性活動家からは、人権弁護士を自称する民弁が、なぜ性的暴行被害者の告白を抑止しようとする訴訟に関与するのか、疑問の声が上がっています。これらの出来事は、民弁の人権活動の姿勢や、その活動対象、論理に疑問を投げかけるものとなっています。

親北団体との関係と批判

民弁は、北朝鮮や親北団体との繋がりも指摘されており、批判の対象となっています。北朝鮮の主張に同調する発言や、脱北者の越北勧誘に関与した疑惑、そして親北団体による韓国政府への訴訟支援などがその根拠として挙げられています。国連人権委員会は、民弁の主張を否定する決定を出しています。

その他の批判

民弁は、日本統治時代の朝鮮人労働者遺族への判決金から成功報酬を得たことでも批判を浴びています。また、民弁出身者の不祥事が相次いで報道されていることも、その組織運営や政治的影響力に対する疑問を深める要因となっています。

創設者の言葉と民弁の現在

民弁の創設者、趙英栄氏は生前、「全ての権力は放置すれば乱用される」「自分が正義だと考えた瞬間、乱用の危険に陥る」という言葉を残しています。この言葉は、現在の民弁の活動や、その政治的影響力、そして民弁出身者の行動を顧みる上で、重要な示唆を与えていると言えるでしょう。

結論

民主社会のための弁護士会（民弁）は、韓国社会において大きな影響力を持つ弁護士団体ですが、その活動内容や政治的立場、そして人権活動への姿勢については、様々な批判や疑問が投げかけられています。設立当初の理念と、現在の活動内容との乖離、そして政界への影響力拡大は、韓国社会におけるその存在意義を改めて問いかける契機となっています。今後、民弁はこれらの批判にどのように向き合い、どのような活動を行っていくのか、注目が集まります。

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