親北

親北（しんほく）とは

親北という用語は、朝鮮民主主義人民共和国（通称：北朝鮮）を支持し、その立場を擁護する思想や行動を指します。北朝鮮主導の朝鮮半島統一を支持する立場も含まれます。また、日本では親朝（しんちょう）という呼称が用いられ、大韓民国（韓国）では従北（じゅうぼく）という別名が使われています。

親北の定義と基準

親北に関しては統一的な定義は存在しませんが、2015年に公表された親北反国家行為者人名辞典において、元北[[朝鮮工作員]]の証言を基にした基準が提唱されています。この基準には、以下の5つの要素が含まれます。
1. 北朝鮮の最高指導者（金日成、金正日、金正恩）への批判を避けること
2. 共産主義・社会主義国家における世襲制の支持
3. 主体思想の受容
4. 北朝鮮の独裁体制への批判をしないこと
5. 北朝鮮内での人権侵害を非難しないこと
これらの基準をクリアすることが、親北とされる勢力に求められる条件としています。

歴史的背景

南北朝鮮が分断された当初から、北朝鮮を正当な政府と考える人々が多く存在しました。特に金日成は抗日パルチザンの英雄として尊崇されており、北朝鮮の指導者陣は強い支持を受けました。また、ソ連軍による権力移譲が早かった一方で、米軍による韓国の政権支援が遅れた背景も、北朝鮮支持につながる要因の一つです。過去に在日朝鮮人作家の金達寿は、著書の中で韓国軍の状況を北朝鮮側から見た視点を紹介しています。

朝鮮戦争を経て、韓国は冷戦時代に「正統国家」として北朝鮮と地位を争うこととなりますが、韓国社会では北朝鮮に対する敵視が根強く、「親北」の風潮は社会的に受け入れられにくい状況でした。このため、韓国の歴代政権は「親北行為」を反政府運動と結びつけ、国家保安法を理由に閣僚や市民を弾圧することもありました。

ただし、1998年に金大中政権が成立し、2000年代になると韓国は北朝鮮を敵視するのではなく、むしろ「同胞」として見始める傾向が生まれます。太陽政策によって南北融和が模索され、マスコミもその流れを支持するようになりました。また、盧武鉉政権時代には真実和解委員会が設置され、歴史の見直しが促進されました。

日本における親北の状況

日本では、親北という立場には複雑な歴史があります。日本共産党は初期に朝鮮労働党と交流を持ちましたが、批判を展開し関係が途絶えました。その後、日本社会党は北朝鮮と友好関係を築いた時期がありますが、朝鮮人拉致問題を受けて批判の対象となりました。特に2002年以降は、日本国内で北朝鮮に派遣される議員や団体が存在し、彼らは北朝鮮との関係構築を試みています。

北朝鮮の国際関係

国際社会において北朝鮮は多くの挑発行為を続けており、テロ支援国家と見なされています。国際的な制裁を受けながらも、核開発やミサイル発射を行っており、その行動は多くの国にとって脅威となっています。北朝鮮が国交を持つ国の中に、キューバやシリアがあり、彼らは北朝鮮との友好関係を強調しています。このように、親北という立場は、国際政治や歴史の複雑な絡み合いの中で形成されていることが明らかです。

親北という概念を理解することは、朝鮮半島の現状やその歴史を把握するために不可欠であり、今後の反応や政策における重要なキーワードとなるでしょう。

もう一度検索