民主社会党 (韓国)

韓国民主社会党：冷戦期の民主主義と社会主義の狭間で

1980年代の韓国は、軍事政権の影と民主化への熱望が渦巻く時代でした。1980年5月17日、5・17クーデターによって既成政党は解散、政治活動は禁止されました。しかし、同年11月の政治活動自由化を機に、それまで地下活動を余儀なくされていた進歩主義者たちが動き出します。彼らの努力が実を結び、1981年1月、民主社会党（민주사회당、略称：民社党）が結成されました。

初代総裁に高貞勳（고정훈）が就任。民社党は、議会制民主主義の確立、経済産業民主主義の制度化、混合経済体制の実施、そして合意に基づく民主的平和統一を党の綱領として掲げました。これは、軍事政権下において民主主義と社会主義の理想を追求する、困難な道のりを歩むことを意味していました。

1981年3月に行われた総選挙では、高貞勳総裁を含む2名が当選。党勢拡大に向け、民社党は翌1982年3月、新政党との合併を経て新政社会党（신정사회당、略称：新社党）と改称します。しかし、勢力拡大は容易ではありませんでした。1985年の総選挙では、当選者はわずか1名。高貞勳総裁も落選という結果に終わります。唯一当選した金琫鎬も後に離党、新韓民主党へ合流しました。これにより、新社党は国会の議席を失い、事実上の終焉を迎えます。その後、社会主義運動家である金哲が結成した社会民主党に吸収統合され、歴史の幕を閉じました。

興味深いのは、日本の民主社会党との交流です。党員派遣（1982年、1984年）、視察団派遣（1984年4月民社党第29次党大会）、さらには日本の民社党から小西博行参議院議員を団長とする訪韓団の派遣（1983年11月）など、両党の間には一定の友好関係が存在していました。これは、冷戦下の国際情勢において、民主主義と社会主義という異なるイデオロギーを持つ政党同士が、共通の理念に基づいて協力関係を築こうとした、貴重な事例と言えるでしょう。

民主社会党の軌跡は、韓国における民主化運動の複雑さと困難さを象徴的に物語っています。軍事政権の圧力下で、限られた自由の中で民主主義と社会主義の理想を追求した彼らの努力は、韓国民主化の歴史に重要な足跡を残しました。しかし、その歴史は決して平坦なものではなく、挫折と統合を繰り返しながら、最終的には吸収合併という形で終焉を迎えたのです。彼らの活動は、韓国民主主義の歩みを知る上で、欠かすことのできない貴重な歴史的資料となっています。この党の盛衰を通して、韓国の民主化運動の複雑さと困難さを改めて認識することができます。また、冷戦下における国際的な政治状況と、異なるイデオロギーを持つ政党間の交流についても、考えるきっかけを与えてくれます。民主社会党の歴史は、単なる一政党の歴史という枠を超え、20世紀後半の韓国社会の変遷を理解する上で重要な役割を果たしています。

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