民主自由党 (ルーマニア)

ルーマニア民主自由党(PD-L)：その歴史と政策

民主自由党(Partidul Democrat-Liberal, PD-L)は、かつてルーマニアに存在した中道右派政党です。本稿では、その設立から消滅までの歴史、そして掲げていた政策について詳細に解説します。

複雑な歴史：救国戦線から民主自由党へ

民主自由党のルーツは、1989年のルーマニア革命で共産主義政権を打倒した救国戦線(FSN)にまで遡ります。当初は政党を結成する意図はなく、選挙への参加も予定していませんでした。しかし、1990年2月には政党登録を行い、国営メディアを掌握して選挙を制しました。

その後、1992年初頭に救国戦線内部でイリエスクとロマンの対立が激化。イリエスク派が離脱し、民主救国戦線(FDSN)を結成、後に社会民主党(PSD)へと発展しました。一方、残された救国戦線は1993年に民主党(Partidul Democrat)と改称。1996年の総選挙では、ルーマニア社会民主党(PSDR)と社会民主同盟を結成しましたが、第3位にとどまり、ハンガリー人民主同盟(UDMR)と共に連立政権に参加しました。しかし、2000年から2004年にかけて再び野党となります。

2004年の総選挙では、国民自由党(PNL)と「正義と真実」連合を結成。社会民主党と対決しますが、過半数には届かず、国民自由党、ハンガリー人民主同盟、保守党と共に2007年4月まで連立政権を維持しました。2005年には、欧州人民党への参加を決め、欧州社会党や社会主義インターナショナルから脱退しています。同年、党内から民主勢力(FD)が分裂して誕生しました。

大統領バセスクと首相タリチェアヌの対立により、民主党と国民自由党の関係は悪化。2007年4月1日には、タリチェアヌが民主党所属の閣僚を解任し、少数派政権となりました。同年12月15日、民主党は自由民主党と合流し、民主自由党(PD-L)として再出発しました。

勢力拡大と政権運営：連立と崩壊

2008年の総選挙で民主自由党は最多議席を獲得し、社会民主党との連立政権を樹立しました。しかし、2009年10月、首相ボックによる副首相解任をきっかけに、社会民主党が連立から離脱。バセスク大統領の再選後、ハンガリー人民主同盟と新たな連立政権を形成しました。

政策：中道右派の主張

2004年以降、民主自由党の政策は社会民主主義から中道主義・保守主義へとシフト。経済自由主義や改革主義を重視し、自由市場の強化、16%の均一税率、地方分権による8つの開発地域の権限強化などを主張していました。

結末：国民自由党への合流

2014年11月17日、民主自由党は国民自由党に合流し、その歴史に幕を閉じました。その複雑な歴史と、掲げてきた政策は、ルーマニア政治における重要な一章を刻んでいます。民主自由党の変遷は、ルーマニアの政治的・経済的変化を反映しており、今後の研究においても重要な事例となるでしょう。

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