民報

『民報』の概要と歴史

『民報』（みんぽう）は、1905年に中国同盟会により創刊された政治的な機関誌であり、主に政治や社会についての論説や評論を掲載していました。持ち紙面は約150ページにおよび、内容は6万から7万字に達することが一般的で、複数の銅版写真や広告も含まれていました。原則として月刊の形態をとりましたが、発行時期には遅延や停止があり、1910年の第26期をもって休刊しました。

歴史的背景

『民報』は、もともと華興会の機関紙である『二十世紀之支那』にルーツを持ちます。1905年8月26日、中国同盟会が結成される際、黄興の提案に基づき、この機関紙が同盟会の公式刊行物として認定されました。そして、同年8月27日、当初のタイトルが日本政府による取り締まりを受けたため、『民報』と改称されることとなりました。

『民報』は、1905年11月26日に東京で創刊され、創始者の孫文はこの刊行を通じて三民主義思想を広める機会を得ました。しかし、1908年10月には第24期が日本政府により発禁処分となり、その後も汪兆銘の手により、1910年に第25、26期が秘密裏に出版され続けました。

この新聞は、革命派である中国同盟会の重要な情報源となり、同時に改革派の『新民叢報』との間で、論争を展開する場ともなりました。こうした出版活動は、当時の中国の政治改革に対する認識を深めるのに寄与し、革命思想の普及において大きな役割を果たしました。

編集と発行体制

『民報』の編集作業は、中国同盟会の本部で行われました。発行人には、東京に住んでいた孫文の友人である宮崎寅蔵（滔天）が任命され、彼の自宅が正式な発行人の住所として使用されました。

刊行の初期には、国内の連絡事務所は6箇所でしたが、第2期に入ると15箇所に、さらには第13期には28箇所にまで拡大され、全国的なネットワークが構築されました。これにより、発行の効率性と情報の流通が向上し、より多くの読者にメッセージが届くようになったのです。

歴代の編集長

『民報』の歴代編集長には、次の人物が名を連ねています。第1期から第5期までは張継が担当していましたが、実際の編集作業は胡漢民の手によって行われていました。その後、第6期から第22期までを章炳麟が担い、第23期と第24期では陶成章が編集責任を持ちました。さらに、秘密出版となった第25期と第26期では汪兆銘が担当しました。

このように、『民報』は中国の近代史において非常に重要な役割を果たした刊行物であり、政治論争や思想の交流が盛んに行われた場所でもありました。

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