黄興

黄興（こう こう）

黄興（1874年 - 1916年）は、清末民初の中国人革命家であり、孫文と並び称される革命運動の指導者です。本名は「軫」でしたが、革命運動に身を投じてから「興」と名乗りました。字は克強。

生涯

生い立ち

黄興は湖南省長沙府善化県の名門地主階級の出身です。幼少期に実母を亡くし、継母から教育を受けました。父は秀才であり、家塾の講師や村長を務めていました。彼は若い頃から学問に励み、秀才に合格後、両湖書院で学びました。そこで民族主義に触れ、革命を志すようになったとされます。

日本留学と華興会

1902年、黄興は日本に留学し、東京の弘文学院師範科に入学しました。留学中には、留学生向けの雑誌や啓蒙出版に携わり、日本の教育行政法の翻訳も行いました。当時、中国人の間ではロシアに対する反感が高まっており、黄興も拒俄団という義勇団体に参加しました。しかし、国内での革命運動の必要性を感じ、帰国を決意します。

1903年に帰国した黄興は、長沙で明徳学堂の教員となり、革命思想を広めました。そして、宋教仁らと共に秘密結社・華興会を結成し、総理に就任。武装蜂起を計画しますが、事前に露見し、上海を経て日本へ亡命しました。

中国同盟会と武装蜂起

1905年、宮崎滔天の仲介で孫文と会見し、革命派の大同団結を呼びかけました。同年8月、興中会、光復会と合同し、中国同盟会が成立。孫文が総理となり、黄興は庶務部長に就任しました。同盟会は「滅満興漢・民国革命」をスローガンに掲げ、中国革命運動を推進しました。

同盟会成立後、黄興は武装蜂起を指揮。広東省や広西省で挙兵しましたが、いずれも失敗に終わりました。しかし、これらの蜂起は、後の辛亥革命につながる重要な試みとなりました。

黄花崗起義と辛亥革命

1911年4月、広州で大規模な武装蜂起（黄花崗起義）を指揮しました。この蜂起は失敗に終わったものの、多くの犠牲者を出し、革命の機運を高めることになりました。同年10月、武昌起義が勃発すると、黄興は長江を遡り武漢に駆けつけ、革命軍を指導しました。漢陽が清軍に奪われた後は上海に下り、大元帥に推されましたが、後に黎元洪に地位を譲り、自身は副元帥となりました。

辛亥革命の成功後、南京に臨時政府が組織されると、陸軍総長兼参謀長に就任し、軍事面を統括しました。

民国成立後

1912年に宣統帝が退位し、南北統一政府が成立すると、袁世凱から軍部の要職を打診されましたが辞退。国民党を率いて内閣を組織する予定だった宋教仁が暗殺されると、孫文が袁世凱討伐を主張しましたが、黄興は最後まで法的解決を望みました。

1913年の第二革命では、孫文に呼応して討袁軍を組織し、南京で蜂起しましたが、袁世凱軍に敗れ日本へ亡命。その後、アメリカへ渡り、資金調達に奔走しました。

1915年に袁世凱が皇帝を称すると、日本に赴き第三革命を計画。1916年に上海へ帰国しましたが、同年10月31日に病死しました。

人物像

黄興は「体貌魁偉」と評され、武術にも長けていました。誠実な人柄と侠気にあふれる性格で、多くの人から愛されました。また、包容力があり、自己犠牲の精神に富んでいたと伝えられています。

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