民間航空委員会

民間航空委員会（CAB）：アメリカの航空業界を規制した機関

概要

民間航空委員会（CAB、Civil Aeronautics Board）は、1938年から1985年まで存在したアメリカ合衆国連邦政府の機関です。その主な役割は、国内航空会社の運行規制、航空運賃設定、航空事故調査などでした。ワシントンD.C.に本部を置き、航空業界の安全と安定に大きく貢献しましたが、1970年代の規制緩和の流れの中で廃止されました。

CABの役割と機能

CABは、国内の航空会社に対し、運航路線、運賃、競争などを厳格に管理していました。航空会社間の過当競争を防ぎ、安定した航空サービスの提供を確保することが目的でした。具体的には、以下の機能を担っていました。

路線認定: どの航空会社がどの路線を運航するかを決定
運賃規制: 最低運賃を設定し、運賃の高騰を防ぐ
競争管理: 航空会社間の競争が過当にならないよう監督
航空郵便輸送: 航空会社への航空郵便輸送許可を付与し、地方路線の維持に貢献
補助金提供: 航空会社への補助金提供
合併・契約規制: 航空業界における合併や企業間契約を規制
不正行為防止: 欺瞞的な取引慣行や不公正な競争行為の防止
航空事故調査: 航空事故の調査と原因究明

CABは、これらの機能を通じて航空業界の安全性を確保し、安定した航空輸送サービスの提供に貢献しました。一方で、自由競争を抑制する面もあったため、批判も存在しました。

歴史と組織変遷

CABは、航空局（Aeronautics Branch）、航空通商局（Bureau of Air Commerce）、州際通商委員会航空郵便局（Bureau of Air Mail, Interstate Commerce Commission）といった前身機関を経て1938年に設立されました。1940年には航空安全委員会と合併し、独立機関となりました。

1958年には一部業務が連邦航空局（FAA）に移管され、1967年には航空事故調査業務が国家運輸安全委員会（NTSB）に移管されました。1970年代に入ると、規制緩和の機運が高まり、1975年にはジェラルド・フォード大統領がCABの廃止を提案しました。1978年の航空規制緩和法により、CABは正式に廃止されました。残された業務は運輸長官に移管されました。

CABの庁舎

CABの本部は、当初はワシントンD.C.のハーバート・C・フーヴァー・ビルに置かれていましたが、1959年にはデュポン・サークルにあるユニバーサル・ビルに移転しました。その後も、オフィススペースの拡大を続けました。

結論

CABは、アメリカ合衆国の航空業界発展に大きな役割を果たした機関でした。その設立から廃止までの歴史は、航空業界の規制と自由競争のバランス、そして政府の役割の変化を反映しています。CABの経験は、今日の航空業界の規制や政策にも影響を与え続けています。

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