民間雑誌

『民間雑誌』について

『民間雑誌』は、1874年（明治7年）に慶應義塾によって創刊された学術雑誌です。自然科学、社会科学、文学、宗教など、幅広い分野を網羅し、当時の知識人たちの間で重要な情報源となりました。慶應義塾が初めて発行した雑誌であり、明六社の『明六雑誌』とほぼ同時期に発刊されたという点で、明治初期の言論界における重要な動向を反映しています。

刊行と終刊

当初は不定期刊行でしたが、翌年6月に第12編で一旦終刊となりました。しかし、明治9年9月には『家庭叢談』を改題し、週刊雑誌として再発足しました。その後、1878年（明治11年）5月に189号をもって廃刊となりました。

編集方針と影響

『民間雑誌』の発刊時に示された編集方針は、後の交詢社の『交詢雑誌』にも影響を与えました。また、1882年（明治15年）には『時事新報』が創刊されるなど、明治初期の言論界の発展に大きく寄与しました。

主な寄稿者と内容

福澤諭吉は『民間雑誌』に多くの社説を掲載し、『売薬論』はその代表的なものです。他にも、矢野文雄、朝吹英二、中上川彦次郎など、慶應義塾の関係者が多数寄稿しました。これらの寄稿を通じて、当時の社会問題や思想に関する議論が活発に行われました。

同時代の雑誌との比較

『民間雑誌』は、文部省の『文部省雑誌』、大槻磐渓の『洋々社談』、中村敬宇の『同人社文学雑誌』などと共に、明治初期の評論界を牽引しました。その後、徳富蘇峰の『国民之友』や三宅雪嶺の『日本人』といった雑誌が登場し、言論界の多様化が進みました。

まとめ

『民間雑誌』は、明治初期の学術・言論界において、重要な役割を果たした雑誌です。慶應義塾の関係者による活発な寄稿を通じて、当時の社会情勢や思想動向を捉える上で貴重な資料となっています。

外部リンク

民間雑誌 慶應義塾出版社
資料寄贈のお願い（慶應義塾関連）
* 幕末・明治初頭の新聞・雑誌

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