気まぐれヴィーナス

気まぐれヴィーナス

「気まぐれヴィーナス」（きまぐれヴィーナス）は、日本の歌手、桜田淳子が1977年5月25日にリリースした通算19枚目のシングルレコードです。

楽曲概要

本楽曲の作詞は稀代のヒットメーカーである阿久悠が、作曲は多くのアイドルソングを手がけた森田公一が担当しています。編曲は船山基紀によるものです。阿久悠は、この曲を作るにあたり、桜田淳子本人にマリリン・モンローのイメージを重ね合わせたものだと説明したと伝えられています。歌詞の中には、モンローが歌唱したことで知られる「I Wanna Be Loved By You」における特徴的なスキャットを連想させるフレーズが取り入れられています。

主なエピソード

この楽曲は、リリースされた年の大晦日に放送された第28回NHK紅白歌合戦で歌唱されました。桜田淳子は紅組の出場歌手の中で、最初にステージに登場し、番組の幕開けを飾る役割を担いました。紅白での披露時には、レコード音源の歌詞冒頭部分「青くて堅かった」が「白くてダメだった」に変更されて歌われたことが、当時の視聴者やファンの間で話題となりました。

また、シングルのレコードジャケット写真が撮影された時点では、桜田淳子の髪型はセミロングでしたが、その後テレビの歌番組などでこの曲を歌う際には、髪をばっさりカットしたショートヘア姿で登場。この髪型の変化も注目を集めました。

さらに、「気まぐれヴィーナス」は、後に日本の音楽シーンを牽引するトップアイドルとなる松田聖子のキャリアにとって、非常に重要な役割を果たした楽曲としても知られています。1978年、当時まだアマチュアだった松田聖子が参加した『ミス・セブンティーンコンテスト』の九州地区大会に提出した歌唱テープに、この「気まぐれヴィーナス」が吹き込まれていました。松田はこのテープ審査で九州地区大会を突破し優勝しましたが、父親の反対により全国大会への出場は辞退しています。しかし、そのテープを偶然耳にしたCBS・ソニーのプロデューサー、若松宗雄が、松田の才能を見抜き、スカウトを決意したというエピソードは有名です。その後、1980年に桜田淳子と同じサンミュージックからデビューした松田聖子は、あるテレビ番組で、桜田本人が見守る前でこの「気まぐれヴィーナス」を歌唱し、番組の挑戦者たちを圧倒する歌唱力を見せつけました。この時の映像は、現在も動画共有サイトなどで視聴することができます。

カップリング曲

シングルのB面には「若い人のテーマ」が収録されています。この楽曲もA面と同じく作詞：阿久悠、作曲：森田公一によるもので、編曲は青木望が担当しました。この曲は、桜田淳子が主演を務めた東宝映画『若い人』の主題歌として使用されました。

収録曲

シングルに収録された楽曲は以下の通りです。

1. 気まぐれヴィーナス (2分54秒)
作詞：阿久悠 / 作曲：森田公一 / 編曲：船山基紀
2. 若い人のテーマ (3分19秒)
作詞：阿久悠 / 作曲：森田公一 / 編曲：青木望

カバー

「気まぐれヴィーナス」は、他の歌手によってもカバーされています。

* 谷ちえ子 - 1977年に発売されたアルバム『ほゝえみ』に収録されています。

この楽曲は、桜田淳子の代表曲の一つとして、また昭和のアイドルポップスを彩る名曲として、今なお多くの人々に記憶されています。

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