気楽に行こうよ

『気楽に行こうよ』：スペインを舞台にしたトムとジェリーの愉快な物語

1957年9月7日に公開された『トムとジェリー』シリーズの一つ、『気楽に行こうよ』(Mucho Mouse)は、スペインのマドリードを舞台に繰り広げられる、陽気ながらもユーモラスな物語です。監督はウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ、作画にはケネス・ミューズ、ルイス・マーシャルといった面々が参加しています。

ストーリー：ギターとフラメンコ、そしてネズミ捕り

物語の中心は、ギターを弾くのが大好きな猫のライトニングです。彼は毎日「ESPAÑA CANI」を奏で、家の中でやりたい放題のジェリーを捕まえるどころか、ギターに夢中になっています。彼の怠惰さに業を煮やした女主人は、とうとうネズミ捕りの名手、トムをアメリカから呼び寄せます。

トムは、世界ネズミ捕りオリンピックの優勝者という輝かしい肩書きを持ち、持ち前の技で最初はジェリーを追い払います。しかし、ライトニングがギターを奏で始めると、ジェリーはフラメンコのリズムに乗って家の中に戻ってきてしまいます。トムは「猛牛」のようにジェリーと闘牛のような対決を繰り広げますが、結果はジェリーの勝利に終わります。

最終的には、トムもライトニングもジェリーを捕まえることを諦め、二人でギターを奏でる中、ジェリーは大量の食糧を巣に運び込んでいます。この光景を目にした女主人は、呆然とするしかありませんでした。ライトニングは「セニョリータ、あのネズミは誰にも捕まえられないって、言ったでしょう？」と開き直り、トムもそれに同意するのです。

登場人物：個性豊かなキャラクターたち

本作の登場人物は、それぞれ個性豊かに描かれています。

トム: 世界ネズミ捕りオリンピック優勝者の称号を持つプロフェッショナル。最初はジェリーを巧みに追い詰めますが、ライトニングのギターとジェリーの機転に翻弄され、最後はジェリーに敗北を喫します。
ジェリー: ライトニングのギターに合わせて軽やかに踊り、食糧を巣に運び込む、賢く大胆なネズミ。トムとの闘牛対決では、見事な戦略で勝利をおさめます。
ライトニング: ギターを愛する猫。ネズミ捕りには全く関心がなく、ギター演奏に明け暮れるマイペースな性格で、女主人の怒りを買っています。彼のギター演奏が、物語全体を盛り上げる重要な役割を果たしています。
女主人: ジェリーの悪行とライトニングの怠惰さに悩まされる女性。トムを雇うことで事態の解決を図ろうとしますが、結局はジェリーを捕まえることができず、呆気にとられてしまいます。

作品の魅力：音楽とフラメンコのリズム

『気楽に行こうよ』の魅力は、スペインの情熱的な雰囲気と、フラメンコを思わせる音楽と演出にあります。ライトニングのギター演奏は、物語全体に独特のリズムと彩りを加え、ジェリーとトムのコミカルな動きと相まって、軽快で楽しい作品に仕上がっています。また、作品全体に流れるユーモアと、キャラクターたちの個性的な行動が、観る者を飽きさせません。

日本での放映とDVD

日本では、TBS系列をはじめとする各局で1964年から1990年頃まで放送され、現在でもDVDで視聴することができます。

まとめ

『気楽に行こうよ』は、スペインの情景と音楽、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、軽妙洒脱なトムとジェリー作品です。フラメンコの情熱と、トムとジェリーのコミカルなやり取りが絶妙に融合した、何度でも楽しめる名作と言えるでしょう。

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